東京都は立川広域防災基地内の「多摩広域防災倉庫」を建て替えて、基地内の近傍にある「立川地域防災センター」の機能を併せ持つ新たな施設を整備する。11月22日に発表した「多摩地域の新たな防災拠点の整備に向けた基本構想」で示した。2025年度に基本計画をまとめ、26〜27年度で基本・実施設計を進める。28年度の着工を目指す。
立川広域防災基地は立川市緑町に位置する総敷地面積約115f。南関東地域で広域的な災害が発生した場合に人員・物資を緊急輸送する中継・集積拠点として、災害応急対策活動の中枢を担っている。国や都、国立病院機構、日本赤十字社の施設で構成される。
その中で、多摩広域防災倉庫(立川市緑町3256ノ5、面積約2万2420平方b)は▽倉庫棟=鉄筋コンクリート造地下1階地上2階建て延べ約1万4510平方b▽管理棟=鉄筋コンクリート造2階建て延べ約670平方b▽事務所棟=鉄筋コンクリート造3階建て延べ約830平方b▽作業棟=鉄筋コンクリート造2階建て延べ約670平方b―など総延べ床面積約1万7800平方b。国が1990年に完成させたものを2016年に取得して、20年から全面運用している。
一方、立川地域防災センター(立川市緑町3233ノ2、敷地面積約6930平方b)は鉄骨・鉄筋コンクリート・鉄骨鉄筋コンクリート造地下2階地上4階建て延べ約7300平方bの防災棟と、鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階地上10階建て延べ7150平方bの住宅棟で構成。1991年に完成した。
首都直下地震や大規模風水害に対する懸念などを踏まえ、所管の総務局が有識者を交えた検討会を設置。両施設の規模の拡充や機能強化に向けて再整備の方向性を練った結果、多摩広域防災倉庫を建て替えて、立川地域防災センターの機能を併せ持つ新たな施設を整備する方針を固めた。多摩広域防災倉庫の敷地にさらなる活用の余地があり、機能の最大化などが可能なためだ。
新施設は防災備蓄倉庫・広域輸送基地機能に約1万6000平方b、防災センター機能に最大約8500平方bを充てる。防災備蓄倉庫は物資の保管に既存の約1・5倍のスペースを確保。荷さばきスペースの拡充や車路の整備、上下階の移動を可能とするエレベーターの設置などにより処理能力の向上を図る。
また、防災センターは災害対策本部室・執務室に約2000〜4000平方b、宿泊・仮眠室・研修室に約4500平方bを配分。今の立川地域防災センターに不足する執務スペースを拡充したり、情報発信に必要となる記者会見室などを設けたりする。
建て替え期間中は、近接地に多摩広域防災倉庫の現施設と同等の代替施設を確保して災害対応力を維持できるようにする。立川地域防災センターの既存建物については、必要な整備を施して、都民向け普及啓発・体験施設、各局の災害時活動スペース、サテライトオフィスといった多様な活用方法を検討する。
提供:建通新聞社