千代田区は、「公共施設等総合管理計画」を策定する。区有施設と都市基盤施設にかかる将来的な費用が今後40年間で総額約6732億円に達すると見込み、予防保全、建て替えと長寿命化改修の併用、未利用・暫定活用財産の有効活用などを、今後の基本的な方針として盛り込む。すでに素案をまとめ、11月中旬までパブリックコメントを受け付けており、委員会へ報告後、年内にも策定する。
区は、公共施設を管理する関する方針などを示した「公共施設等総合管理方針」を17年に策定。その後、公共施設を取り巻く環境の変化や国の策定指針の改訂などで方針の内容を見直す。
〜区有施設、将来費用1・6倍に〜
区有施設は92施設計125棟、総延べ床面積38万1246平方b。将来的な費用は、建築後30年で大規模改修を、60年で更新(改修)という従来の前提に加え、予防保全に不可欠となる計画的な中規模改修・部分改修を追加し試算したところ、今後40年間の費用は総額約4830億円、年平均約120・7億円となった。この数字は、13〜22年度の年平均74・5億円の約1・6倍に相当する。
公園・道路・橋梁などを中心とする都市基盤施設も、今後40年間の費用が総額約1902・5億円、年平均約47・6億円になると試算。区有施設と合わせ、トータルで6732・3億円、年平均約168・3億円の費用がかかるとした。整備の財源は、これまでと同様に社会資本等整備基金や国・都支出金の活用を見込んでいる。
〜中長期計画で保全費用を標準化〜
区有施設の管理方針は▽定期的な点検、点検結果の一元管理の着実な実施▽施設に関するデータの一元化、毎年更新▽建て替えと長寿命化改修を併用した施設整備▽民間のノウハウとデジタル技術などの活用▽地域特性を踏まえた価値創造▽未利用・暫定活用財産の有効活用―など。
他方、都市基盤施設の方針を▽計画的な点検・診断により、保全が必要な箇所
の的確な抽出▽優先度を考慮した対策▽中長期的な維持管理計画を策定し、保全費用を平準化▽効率的・効果的な新技術の活用▽民間が創意工夫できる事業手法の適用―などとする。
〜複合・共用化へ親和性など検討を〜
未利用・暫定活用財産活用の考え方も示した。旧学校施設など3000平方bを超える大型の敷地は、計画立案の自由度が高い。一方、小規模の土地はより柔軟な活用を視野に、両者を異なる時間軸と据えて検討する必要性を示した。また、新たに土地を取得する場合、既存区有地の機能拡充・利便性の向上や、一定規模以上の面積を有し単独の敷地で行政需要を満たすことなどを、検討の条件としている。
さらに、複合施設・共用施設の留意点として、施設間でマイナスの影響が生じないような組み合わせや相互の親和性・相性の十分な検討をはじめ、住宅などの私的空間と公的空間の分離、住み替えが生じる住民との十分な合意形成などを盛り込んだ。
提供:建通新聞社