東京都が2024年度上半期に開札した設計等委託5業種の平均落札率は84・6%で、前年同期に比べプラス9・8ポイントと大幅にアップしたことが建通新聞社の調べで分かった。設備設計の89・4%を筆頭に5業種全てで平均落札率が80%を超え、上昇幅も建築設計がプラス16・7ポイントと2桁になるなど全業種でプラスしている。23年10月以降に原則適用した最低制限価格制度によって低価格での落札が減少したのが要因だ。
設計等委託を構成する▽建築設計▽設備設計▽土木設計▽測量▽地質調査―の5業種について入札結果を分析(10月15日時点)。平均落札率は全ての業種で前年同期を上回って80%を超えた。具体的には、高い順に設備設計が89・4%、建築設計が87・1%、土木設計が83・8%、地質調査が82・4%、測量が81・9%となっている。また、上昇幅は建築設計が最大のプラス16・7ポイントで、地質調査のプラス9・7ポイント、設備設計のプラス9・3ポイント、測量のプラス8・3ポイント、土木設計のプラス7・6ポイントが続いた。
都は23年10月以降の設計等委託の競争入札で原則全案件に最低制限価格を設定している。いずれの業種も予定価格の70%を最低制限価格の下限値とするため、最低制限価格を設定しない総合評価方式の案件などを除けば、落札率が70%を切ることはない。
前年同期は落札率が70%未満の案件が全体の約25%を占め、中には10・9%で落札するケースもあった。これに対し、24年度上半期は落札率が70%未満が全体の1%と著しく減少。最も低い案件は51・9%だった。
〜落札129件減も契約約6億円増〜
落札件数は915件で、前年同期に比べ129件の減。ただ、総契約額は115億5100万円と6億1700万円増えた。総契約額の増加は前年同期に1億円以上の案件が1件(土木設計)しかなかったのに対し、24年度上半期は6件(土木設計4件、建築設計と地質調査が各1件)と多く、落札率も全体的に上昇したことが要因とみられる。業種別では全業種で落札件数が減ったものの、建築設計、設備設計、土木設計の3業種については総契約額が増加している。
〜不調率12・9%、設備設計が31%に〜
不調は136件と前年同期より20件増えたことで、不調率も12・9%と2・9ポイント上昇して1割を超えた。業種別の不調件数と不調率は▽設備設計=58件(9件増)、31%(プラス4・2ポイント)▽土木設計=50件(13件増)、12・1%(プラス3・9ポイント)▽建築設計=20件(1件増)、12・5%(プラス1・9ポイント)▽測量=6件(2件減)、3%(マイナス0・5ポイント)▽地質調査=2件(1件減)、2・3%(マイナス0・3ポイント)―となっており、不調件数と不調率のいずれも設備設計が最大だった。
提供:建通新聞社