東京都は多摩都市モノレールの町田方面への延伸に向けて導入空間となる道路の検討と事業性の検証に着手した。それぞれ東京建設コンサルタント(豊島区)、運輸総合研究所(港区)に業務を委託して作業中。地元市によるまちづくりの進捗なども踏まえながら具体化に取り組む方針だ。
多摩都市モノレールは1981年に打ち出した総延長約93`に及ぶ路線構想のうち、多摩センター駅(多摩市)から上北台駅(東大和市)までの延長約16`が開業している。延伸を巡っては、国の交通政策審議会が2016年4月に▽上北台駅から箱根ケ崎方面を「導入空間となりうる道路整備が進んでおり、事業化に向けて具体的な調整を進めるべき」▽多摩センター駅から町田方面を「導入空間となりうる道路整備が前提となるため、その進捗を見極めつつ、事業化に向けて具体的な調整を進めるべき」▽多摩センター駅から八王子方面を「事業性に課題があるため、事業計画について十分な検討が行われることを期待」―と答申した。
都はその中で、まず箱根ケ崎方面の約7`(東大和市・武蔵村山市・瑞穂町)を24年度内に都市計画決定して事業化につなげる見通しだ。
町田方面への延伸については、多摩センター駅から現道がある区間やない区間を通過して、JR横浜線の町田駅に至る延長約16`(多摩市〜町田市)を想定。21年に選んだルート(通称・B案)は▽町田市立陸上競技場▽野津田高校▽日本大学第三高校▽小山田桜台団地▽桜美林学園▽山崎団地・木曽住宅▽町田市民病院▽町田高校―などと近接しているため、交通需要が見込まれるとしている。
また、地元の町田市と多摩市が3月にモノレール沿線のまちづくり構想を策定。沿線をエリア分けしてそれぞれの取り組みや将来像を示したことから、都は導入空間となる道路の検討や事業性の検証に入った。
導入空間となる道路の検討では、想定する約16`のうちルート中間の約7・7`(多摩市南野〜町田市忠生)を対象とした概略修正設計を進める。拡幅や新設で幅員22b程度の道路を整備する方向だ。東京建設コンサルタントが26年3月13日を期限に業務成果をまとめる。
一方、事業性の検証については、地元市のまちづくり構想などを基に交通需要がどの程度見込めるかを予測して、収支採算性や費用対効果を考える。運輸総合研究所が25年3月14日の履行期限で業務を担当している。
町田方面への延伸は先の知事選で小池百合子知事が公約に掲げており、9月の都議会本会議で大松あきら氏(公明党、北区)が進捗をただした。小池知事は地元市が策定したまちづくり構想などに言及しつつ、「本年度から関係機関などとともに、導入空間となる道路の検討や延伸の事業性検証に着手した」と答弁。その上で「引き続き、地元市によるまちづくりの進捗や関係機関との協議、調整状況を勘案しながら具体化に向けて取り組んでいく」と決意を述べた。
提供:建通新聞社