東京都は流域下水道・野川処理区の水再生センター建設計画を廃止して、北多摩一号水再生センターの増強などで対応する方針だ。計画汚水量などを定めた多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画(流総)の改定作業を通じ、将来的に多摩地域の下水量が減少すると推計されたため。2024年度末にも流総を改定した上で、北多摩1号水再生センターの増強などに向けた検討に着手する予定だ。
野川処理区は三鷹市と武蔵野市、府中市、調布市、小金井市、狛江市の6市にまたがり、計画処理面積は5475f。処理区内の汚水は野川第一幹線や第二多摩川幹線などを経由して、森ケ崎水再生センターの東施設(大田区昭和島2ノ5ノ1)で処理している。
現行の流総(09年7月策定)では、計画処理人口を58万4700人、計画汚水量を1日当たり29万8400立方bと定めている。
計画汚水量の処理能力を満たすため、これまでは調布基地跡地の一部26・8f(調布市・府中市)に水再生センターを建設する計画でいた。ただ、24年度が最終年度の流総の改定に当たり多摩地域の計画汚水量を推計したところ、将来的に減少することが判明。そこで野川処理区の水再生センター建設計画を廃止し、代わりに隣接する北多摩一号処理区の北多摩一号水再生センターを増強する方針を固めた。
北多摩一号水再生センターの所在地は多摩川左岸の府中市小柳町6ノ6(敷地面積約13・5f)。A2O法とステップA2O法を順次取り入れて、1日当たり26万0700立方bの汚水を高度処理できる。多摩川右岸の南多摩水再生センター(稲城市大丸1492、1日当たり処理能力15万9250立方b)と連絡管でつながっており、施設機能の相互融通が可能だ。増強に合わせて野川処理区から北多摩一号水再生センターまでの汚水幹線の整備も考えることになる。
また、水再生センターを造らない調布基地跡地の一部について土地利用を見直す検討も進む見通しだ。
なお、流総の改定では、市街化区域となり公共下水道の下水道計画区域に編入される中央防波堤の面積約300f(江東区・大田区)を組み込むことにしている。
提供:建通新聞社