東京都は土木工事の完了検査で、出来形確認のため受注者に提出を求める根拠資料の一部を11月以降の発注案件などで省略する。また、都市計画道路の第4次事業化計画の計画期間が2025年度に終了するため、新たな計画の検討に着手する方針だ。9月25日の第3回都議会定例会で、小松大祐氏(自民党、世田谷区)の代表質問に山下聡財務局長と谷崎馨一都技監が答弁した。
小松氏は、24年度から建設業にも時間外労働の罰則付き上限規制が適用されたことを挙げて、「建設業における働き方改革を推進するためには、都が公共事業の発注者としてさまざまな取り組みを実施していくことが重要」と指摘。このため「働き方改革の大きな流れや過去に例のない猛暑による熱中症対策など、建設業を取り巻く厳しい状況を踏まえて、工事受注者の負担軽減に向けて積極的に取り組むべき」と唱えて都の見解をただした。
これに対し山下財務局長は、建設業の働き方改革を推進していくためには、工事現場の生産性を高めることが重要との認識を示しつつ、「工期着手届をはじめとした提出書類の削減を進めてきた」とこれまでの取り組みを説明。その上で、土木工事の完了検査に際して、出来形確認のため受注者に提出を求める根拠資料の一部を、11月以降の発注案件などで省略することを明らかにした。熱中症対策についても「工期延伸の協議に必要な種類の削減に加え、猛暑日を考慮した協議期間を営繕工事に導入する」と答えた。
〜都計道の次期事業化計画 検討に着手〜
小松氏はまた、22度末の都市計画道路の完成率が区部で67%、多摩地域で63%となっている状況を捉えて「この30年間でその差は改善したが、引き続き、多摩地域の道路整備を積極的に進めていく必要がある。特に北多摩地域に限れば完成率は40%程度と低い」と整備の促進を求めた。
これを受けて谷崎都技監は、現行の第4次事業化計画の計画期間が25年度に最終年度を迎えることを踏まえて、新たな計画の検討に着手すると答弁。「人や物の交流を支える道路ネットワークを充実するため、区市町と連携して、社会経済情勢の変化や道路に対するニーズの多様化などを踏まえながら(検討を)進める」と今後の展開を伝えた。
都市計画道路の第4次事業化計画は16年3月に策定。未完成の都市計画道路の整備が、東京の▽活力強化▽防災強化▽安全で快適な都市空間の創出▽環境の向上―につながるかという視点などから、整備が必要な都市計画道路を整理している。
その中で、25年度までに優先的に整備する「優先整備路線」として計320路線、総延長226`を選定。また、新たに検討する都市計画道路として8路線を設定した他、28路線で計画内容を再検討、9路線で計画の見直しを検討することになっていた。
提供:建通新聞社