東京都が2024年度第1四半期に開札した設計等委託の平均落札率は84・8%で、前年同期に比べプラス9・3ポイントと大幅にアップしたことが建通新聞社の調べで分かった。23年10月以降に原則適用した最低制限価格制度によって低価格での落札が減少したのが要因だ。設計等委託を構成する▽建築設計▽設備設計▽土木設計▽測量▽地質調査―の5業種で入札結果を分析した。
平均落札率は全ての業種で前年同期を上回って80%を超えた。具体的に見ると、高い順に設備設計が89・3%、建築設計が87・9%、土木設計が84・6%、地質調査が82%、測量が80・6%。また、増加幅は建築設計が最大のプラス15・3ポイントで、設備設計のプラス9・8ポイント、測量のプラス8・3ポイント、土木設計のプラス7・7ポイント、地質調査のプラス6・8ポイントが続いた。前年同期は落札率の最低値が28・5%で、60%以下の案件が全体の14%を占めていたのに対し、24年度第1四半期は落札率の最低値が61・7%となるなど、低価格落札の案件が少なくなった。
都は23年10月以降に発注する設計等委託の競争入札で原則全案件に最低制限価格を設定している。いずれの業種も下限値を予定価格の70%としているため、落札率が70%を切ることはない。
ただし、WTO対象と総合評価方式、単価契約は対象外となっているため、24年度第1四半期の開札案件でも5件は落札率が70%未満だった。うち3件(建築設計1件、測量2件)は総合評価方式で、残る2件(土木設計)は物品・委託に関連する業務を含むため最低制限価格を設定しなかった。
24年度第1四半期の開札案件は前年同期比26件減の390件(8月28日時点)。案件の減少に呼応して、総契約額も3億1000万円減の43億8400万円となっている。
業種別では建築設計のみ件数と総契約額がいずれも増加した。設備設計は9件増となったものの、高価格帯の案件が少なかったため、総契約額は1000万円の減。土木設計、測量、地質調査は件数と総契約額のいずれも減少している。
不調は前年同期に比べ22件増の45件。土木設計が12件増の23件、設備設計が9件増の17件、測量が1件増の2件、地質調査が1件増の1件で、建築設計だけが1件減の2件となっている。
提供:建通新聞社