東京都建設局は妙正寺川の上流部に整備する調節池について、中野区立鷺宮運動広場の周辺を基本候補地に選んだ。地下箱式で約6万8000立方bの容量確保をベースに、気候変動を踏まえた容量の増加も視野に入れて検討を深める。これに伴う業務の委託先を決めるため、財務局が8月20日に希望制指名競争入札の手続きを始めた。土木・水系関係調査(取扱品目=河川・水理調査)A〜Bの競争入札参加有資格者から8月23日まで希望申請を受け付けて、9月11日に開札する予定。2025年2月28日までの委託期間で成果を得て、後続の展開につなげる。
妙正寺川は杉並区にある妙正寺池から中野区を通り、新宿区で神田川に合流する延長約9・7`の1級河川。「神田川流域河川整備計画」(23年3月)で、終点(杉並区清水3丁目)から八幡橋(中野区白鷺3丁目)までの区間に容量約6万8000立方bの調節池を整備すると定めている。また、「気候変動を踏まえた河川施設のあり方」(23年12月)に基づいて、今後の降雨量の増大を見据えた施設規模の増強を検討することになっている。
調節池整備の基本候補地に選んだ鷺宮運動広場の周辺は中野区白鷺3丁目地内の妙正寺川左岸に位置。このうち鷺宮運動広場は面積4920平方bで、少年野球などに使用されている。
今回の業務では、河川整備計画の容量に気候変動を踏まえた容量の増加分を加えて調節池の容量を設定。その上で、基本候補地に全容量をまとめて整備する場合と、基本候補地と別の候補地に容量を分割して整備する場合の2ケースを挙げて、地下箱式の本体構造を基本にした施設の構成や配置を考える。また、鷺宮運動広場などの原状復旧と、換気塔や管理棟など新たな地上部施設の配置などを考慮して調節池の上部利用案をまとめる。
23年度に前段となる業務をフジヤマ(浜松市中区)が手掛けた。
基本候補地の近傍には東京都住宅供給公社(JKK東京)が建て替えを計画する鷺宮西住宅(686戸)が立地している。JKK東京は6月に中野区に提出した「白鷺二・三丁目地区 都市計画提案」で、鷺宮西住宅の建て替えにより創出される用地を調節池の用地の一部に活用する方針を表明。調節池の上部空間に面積0・38fの都市計画公園とJKK東京に帰属する面積1200平方bの公園を一体的に設けるとしている。
また、調節池の整備に関しては、整備主体を東京都とし、中野区とJKK東京がそれに協力する内容の覚書を締結した。
提供:建通新聞社