東京都財務局が2023年度にスライド条項を適用した工事は199件だったことが本紙の調査で分かった。インフレスライドが184件と全体の9割以上を占め、単品スライドの8件や全体スライドの7件を大きく上回っている。業種別で見ると、建築が72件で最も多く、電気の41件や河川の26件が続いた。
受注者からスライド条項に基づく工事費補正の請求を受け、23年度に設計変更した案件を集計・分析した。請求から設計変更までの期間は案件によって異なっており、23年度に適用した199件は22〜23年度の請求分となっている。
適用工事の業種は15業種で、業態別に整理すると設備(電気、給排水衛生、空調の3業種)が73件、建築が72件、土木(道路舗装、橋りょう、河川、一般土木の4業種)が38件、その他(橋りょう塗装、グラウトなど7業種)が16件の内訳。設備と建築とで全体の7割強に達する。
工事案件ごとでは都営住宅の整備に関わるものが97件と全体のほぼ半数。同一工事で複数回にわたりインフレスライドが適用となったケースも確認できた。
単品スライドの適用工事の中には、高炉セメントB種(固化剤)や生コンクリートの価格上昇に伴う請求があった。
スライド条項は、工事の契約締結後に賃金水準や物価水準が変動するなどした場合に、受注者や発注者がそれぞれの相手方に契約金額の変更を請求できる制度。請求後に受発注者で定める基準日以降の残工事期間(2カ月以上)の工事費について、設計変更で賃金水準や物価水準の変動を反映した額に見直す。
インフレスライド、単品スライド、全体スライドの三つの方式があり、都財務局によると、22年度の請求件数は215件だった。内訳はインフレスライドが184件、単品スライドが17件、全体スライドが14件だった。
また、23年度の請求件数(速報値)は263件で、インフレスライドが252件、単品スライドが11件の内訳。全体スライドについては23年1月16日から運用を見合わせている。
提供:建通新聞社