東京都は日比谷公会堂の改修に向けて、2024〜25年度の2カ年度で実施設計を進める。これに伴う業務を佐藤総合計画(墨田区)に委託。26年3月16日までの期間で成果を得て、26年度にも工事に着手する方針だ。免震レトロフィット工法を想定した耐震化をメインに、内部の大規模改修と増築も行う。
日比谷公会堂は、日比谷公園(千代田区)の南東端に位置する市政会館との複合施設。鉄筋コンクリート一部鉄骨造(耐震壁付きラーメン構造)地下1階地上6階塔屋4階建て延べ1万6339平方b(公会堂部分=6298平方b、市政会館部分=1万0040平方b)の建物で、早稲田大学に建築科を創設した佐藤功一が設計、清水組(現・清水建設)が施工を手掛けて1929年に完成した。
老朽化と耐震強度不足のため2016年から休館している。23年には東京都有形文化財(建造物)に指定された。
実施設計の中で免震レトロフィット工法の採用を念頭に建物全体を耐震化するための詳細を詰める。内部の大規模改修は、公会堂の車いす対応を含めた客席数やアクセシビリティー、音響性能、控室・バックヤードなどの規模と配置を固める。また、設備を全面的に更新するとともに、延べ床面積約500平方bの増築で室外機などを収められるようにする。
都立日比谷公園再生整備計画(21年7月策定)では、改修により施設の利便性を向上させるとともに、歴史的な建物を活用したレトロカフェを整備し、⺠間運営を図ることで施設の魅⼒を一層高めるとしている。
19年度にプロポーザル方式で選んだ佐藤総合計画に基本設計業務を委託した。当初は20〜21年度に実施設計を行う予定だったが、共同所有者である公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所との調整や、文化財保護の観点から改修方法の見直しに時間を要し、スケジュールが後ろ倒しになっていた。
23年度の修正設計や24年度の補足設計も佐藤総合計画が担当。今回の実施設計についても、基本設計との一貫性を持たせる必要性などから、同社が提示した4億8800万円(税抜き)の見積金額を採用して特命随意契約を結ぶことになった。
提供:建通新聞社