東京都都市整備局のまとめによると、特定緊急輸送道路の通行機能を表す総合到達率は2024年6月末現在で93・4%となり、前回調査の23年12月末現在から0・4ポイント上昇した。また、特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化率は88・5%で、前回調査時に比べ0・3ポイント増加。引き続き、耐震アドバイザーの派遣や耐震診断・設計・改修費用の助成により数値を高めていく考えだ。
都は特定緊急輸送道路の指標として、「区間到達率」と「総合到達率」の二つを採用している。「区間到達率」は都県境から、特定緊急輸送道路のうち交差点などで区分した特定の部分にまで到達できる確率で、「総合到達率」はその平均値。耐震化率に比べ、特定緊急輸送道路の通行機能の効果をより的確に示す指標として扱っている。
東京都耐震改修促進計画(23年3月)によると、25年度末までに総合到達率99%の達成と区間到達率95%未満の解消を目指すとしている。加えて、TOKYO強靱(きょうじん)化プロジェクトupgradeT(23年12月)では、35年度の総合到達率100%達成を掲げている。
一方、参考値として公表している耐震化率について、分母となる特定緊急輸送道路沿道建築物の数は1万8280棟。新耐震基準の1万3453棟と旧耐震基準の4827棟で構成している。
旧耐震基準の建築物のうち4752棟で耐震診断を完了。このうち、耐震化が必要と診断されて改修などを施したのは2731棟で、前回調査時より耐震化率は0・3ポイント上昇し88・5%となった。
また、耐震性の不足が判明したものの、耐震化が完了していない建築物は2021棟。耐震診断をしておらず、耐震性が不明な旧耐震基準の建築物は75棟となった。
耐震化の向上に向けたアドバイザーの無料派遣に関しては、昨年度に専属アドバイザー制度を創設。緊急輸送道路沿道建築物の所有者が専門家を指名し、都がアドバイザーとして任命する。これにより、例えばマンションの管理組合などが修繕などでなじみのある業者に依頼することができ、よりアドバイスを受けやすい体制を整えている。
提供:建通新聞社