首都高速道路会社は8月5日、高速湾岸線の荒川湾岸橋に大規模修繕を施す工事の一般競争入札(WTO政府調達協定対象)を公告した。橋長840bに及ぶ同橋のうち、先行して東京側の約455bで桁の塗り替え塗装や恒久足場の設置、鋼部材の取り換えなどを行う。技術提案価格交渉方式(高度技術タイプ)を試行適用し、入札参加者の選定や技術・価格交渉に基づく予定価格の設定などを経て落札者を決める。道路保全土木の単体または2〜3者JVから8月6日〜10月3日に申請書などを受け付け、12月27日までに最終の技術提案書と詳細工事費内訳書の提出を求めた上で、2025年3月14日に開札する。工期2830日間での施工と並行して千葉側の大規模修繕工事も実施していく見通しだ。
荒川湾岸橋(江東区〜江戸川区)は橋長840b、最大幅員約47bの7径間連続ゲルバートラス橋で、1978年1月に供用した。荒川の河口部に位置しているため飛来塩分の影響を受けやすく、塗膜が下地から広範囲にわたって剥がれ落ちる事象によって、鋼材の腐食や部材の破断といった重大な損傷が確認されている。
そこで、古い塗装仕様の塗膜を下地から除去して高耐久の塗装に塗り替えたり、断面欠損や破断が生じた一部部材の補修・補強や取り換えを実施したりする他、新たに点検通路などを設置して維持管理性を向上させる。
今年1月の新たな更新計画で、2024〜35年度に2301億円を投じて対策を施す橋梁の一つとなっている。
今回の工事は、東京側に当たる江東区新木場4丁目地先を施工場所とした▽トラス桁4万0900平方bの塗り替え塗装▽恒久足場3700平方b、検査路1180bの設置▽鋼部材(下横構ガセットプレート)44カ所の取り換え▽高力ボルト1万5600本、亀裂112カ所の補修―などを、実施設計を含めて行う。発注規模が50億円以上の案件となっている。
試行適用する技術提案価格交渉方式(高度技術タイプ)は、技術的な工夫の余地が大きく、構造上の工夫や特殊な施工方法などを含め高度な技術提案を求める工事の契約方法。技術資料の総合的な評価が上位の3者程度を入札参加者とし、技術資料と詳細工事費内訳書による交渉を実施して予定価格を定めた上で、技術資料と入札金額の総合評価で落札者を決める。標準積算を上回る場合でも妥当性を確認して設計金額に反映できるのが特徴だ。
提供:建通新聞社