東京都は石神井川上流地下調節池の事業費を、これまでの989億円から321億円増の1310億円に見直した。国土交通省が国庫補助の採択を保留して費用対便益の再算定を求めていたことから、最近の物価高騰などを反映させた。これにより費用対便益比は2023年度に算定した1・31から1・11に減少するものの、事業効果があるとされる1・0を超えているため、都は事業を「適切に行える」としている。7月23日の河川整備計画策定専門家委員会で明らかにした。早急に国交省へ国庫補助の申請をし直すとともに、増額分を25年度予算で措置するなどして本体工事の実施につなげる。
石神井川上流地下調節池は、青梅街道や伏見通りなどの地下に整備する貯留量約30万立方bのトンネル式調節池。武蔵野中央公園内(武蔵野市八幡町2丁目)に発進立坑を、南町調節池内(西東京市南町1丁目)に到達立坑をそれぞれ設け、泥水式シールド工法で延長約1・9`、内径14・3b(外径15・2b)、土被り約30bの本管トンネルを構築する。
設計は建設技術研究所(中央区)が担当。22年3月に都市計画決定し、同年10月に事業認可を受けた。24年度予算と限度額769億5000万円の債務負担行為(25〜31年度)で、本管のシールドトンネルや発進・到達立坑などの工事費を確保していた。
事業費増額の主な要因には、シールドマシンやセグメント、土木資材の価格高騰と、公共工事設計労務単価の上昇、建設発生土処分先の変更を挙げた。費用対便益の再算定に必要な諸条件のうち、事業費と基準年度を23年11月の前回委員会から変更。他の諸条件については引き続き、1年当たり維持管理費を事業費の0・5%、整備期間を13年間などと設定した。
提供:建通新聞社