JR東日本は中央本線・三鷹〜立川間の複々線化について、計画工期を2027〜33年度に見直した。これまで22〜28年度としてきたものの、今後の需要動向や財源確保方策などが確定せず、工事着手に至っていないため。環境影響評価の事後調査などに関わる変更届で明示した。主に地下式とする中で工事の内容は変更しない。
中央本線・三鷹〜立川間の複々線化は連続立体交差化とセットで1994年に都市計画決定した。三鷹市下連雀3丁目〜立川市錦町1丁目の約13・1`区間が対象だ。
連続立体交差化のための1期工事を98〜2013年度に実施。区間の中で三鷹駅〜国分寺駅間と西国分寺駅〜立川駅間を高架化して在来線を切り替え、18カ所の踏切を除却した。
一方、複々線化は2期工事の位置付けで、三鷹駅〜国分寺駅間と西国分寺駅〜立川駅間にシールド工法や開削工法でトンネルを造るなどして計画線を通す。御茶ノ水駅〜三鷹駅間で済んでいる複々線化を立川駅まで延ばし、輸送力の増強を図るのが目的だ。
新たな計画工期に基づく概略工程を見ると、24〜26年度で用地買収を完了させた後、27〜31年度にトンネル工事、27〜32年度に開削工事、27〜28年度に擁壁工事、27・28・31〜33年度に軌道・電気工事を実施するとしている。
【都、国に支援も含め要求】
三鷹〜立川間の複々線化を巡っては、6月5日に開かれた都議会本会議で本橋たくみ氏(自民党)が質問。中央本線の現状について「コロナ禍で減少した乗客が回復するとともに、ダイヤの大幅な遅れが常態化している」と指摘して、整備に向けた都の取り組みをただした。
これに対し、谷崎馨一都技監は「多摩地域と都心部のアクセス利便性が向上するとの効果が示されている一方で、多額の費用や採算性の確保などが課題となっている」と説明。国の24年度予算編成に対する23年11月の提案要求で最重点事項に掲げるとともに、国の有識者会議(今後の都市鉄道整備の促進策のあり方に関する検討会)でも「国の支援も含めた新しい整備の仕組み」や「財源の確保」などを求めたことを伝えた。
また、JR東日本には「事業費の精査や構造など、より具体的な検討を早期に進めるよう求めていく」との方針を示した。
提供:建通新聞社