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建通新聞社(東京)
2024/06/06

【東京】西武線・野方〜井荻連立、概算1040億円

 東京都建設局は西武新宿線・野方駅〜井荻駅付近間の連続立体交差事業にかかる概算事業費を1040億円と試算した。2016年度の前回試算から約200億円の増で、仮線高架化での整備を想定しつつ物価・資機材の高騰を反映させた。現在、構造形式の比較検討を行っており、沿線自治体との調整が終われば国との比較設計協議を進めて都市計画・環境影響評価の手続きを開始する考えだ。
 西武新宿線・野方駅〜井荻駅付近間の連続立体交差事業は、中野区から杉並区にかけての延長約3・1`区間で13カ所の開かずの踏切を除却するもの。区間内には野方駅側から都立家政駅、鷺ノ宮駅、下井草駅の3駅がある。
 16年度の調査で▽仮線高架化▽直上高架化▽地下化(単線シールド)―の三つの構造形式を比較検討。地形と除却できる踏切の数、事業コストの視点から仮線高架化が有利となった。その際に試算した概算事業費は仮線高架化が850億円、直上高架化が1020億円、地下化が1070億円だった。
 国から着工準備の採択を得た17年度に概略設計に着手。協定を締結した西武鉄道がパシフィックコンサルタンツ(千代田区)に業務を委託した。23年度に構造形式を再度比較検討した結果、仮線高架化が有利との見方に変わりはなかったものの、物価などの高騰を受けて概算事業費は1040億円に増加した。
 国との比較設計協議に先立ち、沿線自治体の中野区と事業区間の調整を行う必要がある。
 区は13年度に実施した構造形式の検討を踏まえ、高架案が最適との見解を表明。ただ、建設局が対象外としている野方駅と野方第1号踏切を事業区間に含め、駅の移設・橋上化で踏切を除却することを想定している。また、野方駅は地上駅のままでそれ以外の区間を高架化し、野方第1号踏切については道路を単独で立体交差構造にして除却する案も示している。
 このため建設局は、24年度も引き続き中野区と野方第1号踏切の除却などに関して意見を交換。調整が付けば事業区間を確定させて構造形式を再度検討した上で、国との比較設計協議に臨む方針だ。
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 西武新宿線では野方駅〜井荻駅付近の前後区間でも連続立体交差事業が進行している。
 井荻駅〜西武柳沢駅間の延長約5・1`(杉並区・練馬区・西東京市)は高架化して19カ所の踏切を除却する。23年3月に都市計画事業認可を受けており、付属街路の整備も含めて39年度までに完了させる予定。事業費は2660億円。24年度は用地測量や西武鉄道との施行協定締結に向けた協議を進める。
 また、中井駅〜野方駅間の延長約2・4`(中野区)は地下化して7カ所の踏切を除却する。13年4月に都市計画事業認可を受け、5工区に分けて工事を実施している。26年度末までに完了させる計画だ。事業費は1219億円。提供:建通新聞社