鉄道・運輸機構(JRTT)は「都心部・臨海地域地下鉄」(臨海地下鉄)の整備に関わる業務4件を委託するため、5月30日に公募型プロポーザルの手続きを始めた。線形計画の深度化やシールドトンネルと駅の概略設計などが内容で、6000万〜9000万円台の税込み参考役務規模を想定。それぞれ土木関係建設コンサルタントの単体またはJVから5月31日〜6月10日に参加表明書を、6月19日〜7月29日に技術提案書などを受け付け、7月31日〜8月5日のヒアリング期間を経て委託先を特定する。2025年度末までの2カ年で作業を進めて事業化につなげる。
臨海地下鉄は国土交通省・交通政策審議会の答申(16年4月)で、「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」の一つに位置付けられた路線。東京都と国、学識経験者などの検討委員会が22年11月に公表した事業計画案によると、東京〜有明の約6・1`区間に▽東京▽新銀座▽新築地▽勝どき▽晴海▽豊洲市場▽有明・東京ビッグサイト―の7駅(いずれも仮称)を置く。税込み概算事業費を約4200億〜5100億円と推計した。
今年1月に都、JRTT(整備主体予定者)、東京臨海高速鉄道(TWR、営業主体予定者)の3者が事業計画を検討することで合意。小池百合子知事も早期の事業化に意欲を示した。40年までの実現を目指している。
プロポ手続きを始めた業務は▽線形計画他▽シールドトンネル概略設計他▽非開削駅概略設計他▽開削駅概略設計他―の4件。
個々に見ると、「線形計画他」(税込み参考業務規模9600万円程度)で地下鉄道の線形計画や車両基地計画、営業路線との地下接続部の検討を深度化する。「シールドトンネル概略設計他」(6400万円程度)では全線にわたるトンネルの施工計画やシールドの概略設計、既存構造物の仮受けの検討などを行う。
「非開削駅概略設計他」(8200万円程度)で東京駅と新銀座駅をターゲットにした提案を得て、工法の選定や施工計画の立案などに取り組む。「開削駅概略設計他」(7600万円程度)についてはニューマチックケーソン工法の適用を視野に入れつつ、開削以外の工法も選ぶなどして検討を進める。
いずれも26年3月9日が履行期限となっている。
先行して地質調査業務4件の委託先選定に伴う簡易公募型競争入札(一括審査方式)の手続き中。中央区内と江東区内を履行場所とする長さ約80〜100bの土質ボーリングなどが内容で、5月17日を期限に参加表明書の提出を求めた。6月14日に開札する。25年2月28日までに成果をまとめてもらう。
提供:建通新聞社