東京都交通局は都営大江戸線の延伸で概算事業費を約1500億円と試算している。旅客需要がコロナ禍前の水準に近づいてきているものの、物価高騰の影響もあり、事業化に向けては採算性に課題があるという。このため運輸総合研究所(港区)に委託した基礎調査業務を通じ、旅客需要の創出や建設コストの削減に関する方策を検討。2025年3月28日までに成果を得て、事業化への足がかりにしたい考えだ。
都営大江戸線の延伸は終点の光が丘駅(練馬区光が丘)から西に進んで練馬区大泉学園町に達する延長約4`。都市計画道路補助230号線の地下にシールド工法で軌道のトンネルを造る他、光が丘駅側から「土支田駅」と「大泉町駅」、「大泉学園町駅」(いずれも仮称)の3駅を設置することを想定している。大泉学園町からJR武蔵野線の東所沢駅(埼玉県所沢市)まで伸ばす構想もある。
早期の事業化に向け、23年3月に武市敬副知事(当時、現在は中村倫治副知事が所管)をトップとする「大江戸線延伸にかかる庁内検討プロジェクトチーム」を立ち上げた。これまでに会合を数回開き、おおよそ40年後を見据えた事業の採算性を検討。物価高騰の影響も反映し、トンネルや駅施設の整備などに要する概算事業費を約1500億円と試算した。
今回委託した基礎調査業務で▽旅客需要の創出策▽建設コストの削減策▽事業費の財源確保策―などを具体的に検討。旅客需要の回復傾向も踏まえて採算性を検証し、事業化に当たっての課題解決につなげる。
提供:建通新聞社