国土交通省関東地方整備局の藤巻浩之局長は建設専門紙との会見に応じ、建設業の働き方改革やDXへの対応に注力する姿勢を改めて強調した。その中で、時間外労働の上限規制を巡る実情から発注方式などを工夫する用意があることを表明。また、1月に発生した能登半島地震を踏まえ、訓練や意見交換を通じて建設業団体とより緊密に連携する考えを示した。
建設業の働き方改革に関しては、4月に始まった時間外労働の上限規制によって「現場で困っていることがあるか、ゆがみが発生していないか」と実情を積極的に把握していく。課題が見つかれば「発注方式や歩掛などを工夫」する方針だ。また、2024年度から月単位の週休2日制を分任官工事も含め全て発注者指定で行う独自施策に触れながら、「その先の完全土日休みも目指す」と展望した。
「監理技術者や現場代理人の時間外労働の要因は書類作成」とも指摘し、1都8県と工事書類を統一化したり、書類作成スリム化ガイドをバージョンアップしたりして是正に取り組む。このうち、工事書類の統一化は埼玉県と先んじて進めており、24年度は他の1都7県へも拡大する計画。「いずれは自治体以外の発注者とも書類の統一化を図っていく」方針だ。
DXの面では、「展開の年」となる24年度にDX大賞を創設し、工事や業務の発注に際して受賞者を加点評価する独自施策をアピール。小規模工事ICT施工の手引きの動画版を作り、経営者セミナーも開くなどして「DXの裾野が広がるように頑張りたい」と意気込んだ。
能登半島地震については、発生直後からの建設業界の迅速な対応を評価しつつ、首都直下地震に備えるためにも「関東の建設業協会と訓練や意見交換を密にしていきたい」と述べた。
さらに、大規模地震が起きれば「房総半島も同じ状況になる」との見方を提示。スムーズな復旧を可能にするため、自衛隊のホーバークラフトが上陸できる砂浜やヘリコプターが着陸できる地点などを調査していく予定だ。
提供:建通新聞社