国土交通省関東地方整備局は江戸川水閘門の改築で、新施設の本体工にECI(技術提案・交渉)方式を採用して6月から1期工事の施工者選定手続きを進める方針だ。まず技術協力業務を任せ、別途委託の検討業務に対する技術提案を求めて施工計画を具体化する。価格交渉が成立すれば、2024年度内に1期工事の契約を結んで着工する見通し。
江戸川水閘門(江戸川区)は江戸川分水路と旧江戸川の分岐点にあり、鋼製ローラーゲートの水門5門(幅10・6b、高さ5b)と閘門(幅13・4b、高さ6・5b)で海水の溯上を防いだり、上流の水位を確保したりしている。1943年の完成から80年以上がたち損傷が激しく、ゲートの操作不良が発生している他、耐震性能も不十分なため改築する。
現施設の下流80b地点に水門3門と閘門(幅約80b、高さ約30b)で構成する新施設を整備して、洪水時に毎秒最大1000立方bを旧江戸川に分派させる。新施設の本体と電気・機械設備、管理用通路を完成させた後、現施設を撤去して2033年度に事業を完了する予定。総事業費約540億円を見込み、24年度当初予算に工事などの経費として13億3300万円を計上した。
関東地整が河川事業の工事にECI方式を採用するのは今回が初めて。6月から施工者選定手続きを進める本体工の1期工事は、水門改築一式で工事規模が50億円以上のWTO政府調達協定対象。第4四半期の工事契約を経て、工期45カ月で実施する予定だ。
一方、技術協力業務を通じて技術提案を求める検討業務は、所管の江戸川河川事務所が第1四半期に簡易公募型プロポーザル方式で委託先を決定。履行期間8カ月で新施設の整備と既設水閘門の撤去に関する施工計画をまとめ、建設技術研究所(中央区)が手掛けた詳細設計業務の成果とともに工事の価格交渉に役立てる。
提供:建通新聞社