東京都は工事発注に関する総合評価方式のうち、技術提案型を2024年度中にも見直す。金額や工事内容といった案件の規模に応じて技術提案の課題数を絞るよう改め、提出書類の削減や手続き期間の短縮につなげて中小企業も参加しやすい制度としたい考え。3月25日の都議会予算特別委員会で田村利光氏(都議会自民党)の質問に山下聡財務局長が答弁した。
都発注工事の総合評価方式は▽技術提案型▽施工能力審査型▽技術力評価型▽技術実績評価型―の4類型。
このうち技術提案型は技術的工夫の余地が大きい工事を対象とし、近年ではWTO政府調達協定基準額以上の大型工事で適用する傾向にある。現行の要綱では三つの課題に対する技術提案を提出するよう定めている。
簡易な総合評価方式の導入に向けた検討状況について尋ねられた山下局長は、技術提案の課題の削減に関して、「2月に学識経験者などに方向性を示した」と、入札監視委員会・制度部会での取り組みを伝えた。そこでの意見を踏まえ、「制度設計の具体化を進める」として、24年度中に見直すスケジュールを明らかにした。適用を開始する時期については未定としている。
他の3類型についても、「実施状況を分析し、必要な制度改善に向けた検討を行っている」ことを説明。中小規模の工事を対象に過去の工事成績などを評価する「施工能力審査型」では、「ダンピング対策の効果をより高めるため、価格点の算出方法の修正を検討している」とした。
中規模以上の工事で施工計画を重視する「技術力評価型」は、適用件数が少ないことから、「活用促進に向け、現場の声を踏まえた評価項目の見直しを検討している」と述べた。
一方、技術的課題の少ない、比較的大規模の工事を対象とした「技術実績評価型」については、「技術点と価格点がバランスよく運用されている」との評価の下、現行制度を維持する。
提供:建通新聞社