東京都財務局建築保全部は、同部署が発注する全ての営繕工事について、4月1日から新たに「週休2日促進工事」(促進工事)と「週休2日交替制工事」(交代制工事)を開始する。2024年度から時間外労働の上限規制が建設業にも適用されることを受け、労務費を補正して週休2日の確保を促す。これまで同部署の週休2日に関するモデル工事では対象案件を選んで発注していたが、今後は原則全ての案件を促進工事の対象とし、促進工事がなじまない場合に交替制工事を適用する考え。他の知事部局でも同様の対応を取る見通し。
促進工事は、4月1日以降に契約する案件に適用。原則全ての営繕工事を対象にしつつ、@単価契約工事A対象期間が30日未満の工事B工事内容と施設の事情などで対応が困難な工事―については対象外とすることができる。
受注者は工事着手から完了までの期間中、4週8休以上の現場閉所・休息に取り組む。原則として土日を週休日にし、工事着手時の受発注者の協議により他の曜日への変更を可能とする。
一方、交替制工事は促進工事になじまない工事に4月1日から適用する。23年3月31日以前に契約した「週休2日モデル工事」と「受注者希望型週休2日モデル工事」でも受注者が希望すれば対象になる。工事着手から完了までの間、技術者と技能労働者の休日を任意に設定して4週8休以上を交替で確保する。
積算に当たっては、4週8休以上を前提に労務費に係数を乗じて予定価格を算出する。複合単価方式では公共工事設計労務単価に1・05を乗じる。市場単価と建設資材定期刊行物掲載価格(材工単価)の労務費を用いる場合には、工種ごとに補正率を設定。同じ工種でも、新築や改築、全館無人改修の「新営補正率」と、居ながら改修などの「執務並行改修補正率」で区別して補正する。
達成状況を確認し、4週8休に満たない場合には補正分を減額変更にする。また、交代制工事を既契約工事に適用する場合には、4月1日以降を基準とした残工事に対して労務費を補正して増額変更する。
留意事項として、他業種に工期のしわ寄せが生じないよう、概成工期を考慮した実施工程表を作成するよう受注者に求める。また、週休2日を見える化するため、その旨を仮囲いや現場事務所、作業員詰所などに明記する必要がある。下請契約の見積もりの際には見積条件に記載し、工期や契約条件で下請けにしわ寄せが及ばないよう考慮する。
これまで建築保全部では、土日を閉所する「週休2日モデル工事」を17年度から、土曜日の閉所を別の曜日に変更できる「受注者希望型週休2日モデル工事」を20年度から実施してきた。受注者希望型については、週休2日を達成できなかった場合でも、閉所などの日数によって労務費を補正していたが、促進・交代制工事では達成できなかった場合には減額変更になる。また、モデル工事に適用していた成績評定での加算措置は実施しない。
提供:建通新聞社