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建通新聞社(東京)
2024/02/14

【東京】都 技術提案型を簡易に 総合評価見直しへ

 東京都は工事の総合評価方式を見直す方針だ。「技術提案型」の課題数を減らすなど簡易な形に改めて受発注者双方の負担軽減を図るとともに、都発注工事の実績が少ない中小企業にも受注機会を広げる。また、「施工能力審査型」で基準価格を下回った入札価格の減点幅を大きくしたり、適用が少ない「技術力評価型」を改善したりする。2月9日の入札監視委員会・制度部会(部会長・堀田昌英東京大学大学院工学系研究科教授)でこれらの方向性を説明した。国や他の自治体の取り組みを参考にしつつ、委員からの意見も反映させて、次回以降の部会で内容を深度化する。
 都発注工事の総合評価方式は▽技術提案型▽施工能力審査型▽技術力評価型▽技術実績評価型―の4類型。このうち技術実績評価型を除く3類型を見直す方針を示した。
 個々に見ると、技術提案型は現行の要綱で3課題としている技術提案書の課題数を減らすとともに、希望票との同時提出を求めて簡易にする。2008年度以降にWTO政府調達協定基準額以上の案件に適用して手続きが煩雑になる傾向がある中で、競争入札参加資格の確認と技術提案書の審査に必要な期間を短縮するのが狙い。都は案件の公表から開札まで4〜5カ月かかっていた期間を約1・5カ月短縮できると推計している。
 施工能力審査型は基準価格を下回った入札価格の減点幅を大きくする。基準価格は20年1月から調査基準価格の代わりに設定しており、入札価格が基準価格を下回っても即失格にはしない反面、入札価格が低くなるにつれて価格点が減るようになっている。見直しでは、技術点とのバランスにも配慮しつつ、価格点の減点幅を大きくすることで、ダンピングの防止効果をより高めたい考え。
 技術力評価型は過去3年間の適用が3件にとどまっている他、評価項目が技術実績評価型と類似しているため、改善策を検討する。
 これらの方向性のうち施工能力審査型を巡っては、部会の委員から「基準価格の導入以降、実際にダンピングだと思われる案件は増えているのか」と見直しに疑問を呈する声が上がった。このため堀田部会長は「基準価格よりも低い価格で応札した落札者について、工事成績評定などから品質の評価などを調査してはどうか」と都に提案し、他の委員も賛同した。
【価格競争と総合評価をバランスよく】
 部会ではまた、1月24日〜2月5日に実施した業界団体との意見交換を踏まえ、委員が「中小企業振興や競争性・経済性の確保に念頭を置きつつ、総合評価方式の運用をどのように考えているのか」と都にただす場面があった。
 都は「業界団体からは、『現行の総合評価方式では実績がない企業の新規参入が困難』という意見が寄せられた」と振り返りつつ、「技術提案方式を簡易化することで、技術力はあるが実績が少ない企業にも門戸を開くことになるのではと考えている」と説明。併せて競争性と経済性、品質の確保という面では「価格競争と総合評価を案件に応じてバランスよく発注していくことが必要」とのスタンスを伝えた。提供:建通新聞社