東京都財務局のまとめによると、2022年度(22年4月1日〜23年3月31日)に開札した知事部局発注工事の不調率は財務局契約が9・5%、各局契約が10・3%だった。それぞれ前年度に比べ0・9ポイント増、0・2ポイント減で、増減はあるものの、いずれも入札契約制度改革前の16年度と同水準だ。平均落札率は財務局契約、各局契約ともに90%台を維持している。入札契約制度改革の本格実施(18年6月以降、事前公表と事後公表の併用)から約5年がたった状況を調べた。
調査の対象は予定価格250万円以上の総価契約の競争入札工事。公営企業局は除いている。
具体的に見ると、22年度は財務局契約案件を441件開札したうち、落札者が決まったのが399件、不調が42件。不調率(開札ベース)は9・5%。平均落札率(落札ベース)は93・6%だった。予定価格を233件で事前公表、208件で事後公表した。
また、入札への平均希望者数は7・2者、平均応札者数は5・5者(いずれも落札ベース)となっており、16年度からの過去7年間で最も多かった。
一方、各局契約は2263件を開札したうち、落札が2029件、不調が234件。不調率は10・3%、平均落札率は92・4%だった。予定価格を2254件で事前公表し、9件を事後公表とした。平均希望者数は12・6者、平均応札者数は5・1者となっている。
《混合入札、中小の受注額は増加》
入札契約制度改革の試行期間中にJV結成義務を撤廃して取り入れた混合入札については、9業種(建築、橋りょう、河川、水道施設、下水道施設、一般土木、電気、給排水衛生、空調)の状況を分析したところ、平均希望者数が単体、JVのいずれも年々増加傾向にあるという。
その中で、JVの落札する割合は試行期間中が14・9%、本格実施後の18年度が20・7%、19年度が16・4%、20年度が20%、21年度が14・7%、22年度が14・9%で推移し、年度によってばらつきが見られた。混合入札の不調率は、試行期間中の16・5%が22年度には10・6%へと改善した。
混合入札に占める中小企業の受注割合は、受注件数ベースが64・4%、受注金額ベースが51・9%。それぞれ制度改革前と比べて0・9ポイント減、17・7ポイント増となっており、件数ベースは下降している反面、受注金額ベースについては上昇した。
ただ、都の現行の入札契約制度を巡っては、1月24日〜2月5日に開いた業界団体との意見交換で「地場業者(施工場所に近い中小企業)の受注拡大にはつながっていない」との声が上がった。このため財務局は意見交換を通じて把握した意見や現場の実態を今後の入札契約制度の参考にする方針だ。
提供:建通新聞社