東京都が1月26日に発表した2024年度の当初予算案によると、一般会計の投資的経費は23年度比4・3%増の1兆0719億円となり、2年連続で1兆円台を確保した。「TOKYO強靭(きょうじん)化プロジェクト」のアップグレードを踏まえた施策へ積極的に予算を割り振ることとし、他の会計を含め7609億円を配分する。
一般会計の総額は5・1%増の8兆4530億円。法人税や固定資産税・都市計画税をはじめとする都税収入の増加が押し上げ、3年連続で過去最高額を更新した。
また、政策・事業評価などによる検証を通じて過去最高となる1266億円の財源をねん出。投資的経費の増加に対して基金を7001億円取り崩したものの、一定の残高があることや、都債が減少したことで堅調な財政基盤を維持している。
他の会計は特別会計が1・4%減の6兆1908億円、公営企業会計が8・6%増の1兆9146億円。全会計の合計は3%増の16兆5584億円となっている。
【工事へ9254億円投資】
一般会計のうち投資的経費の内訳は工事が9254億円、用地が1465億円で、前年度に比べそれぞれ516億円増、72億円減。工事に充てる経費の増加は江戸東京博物館の改修などの大型工事案件や、資材価格の高騰が主な要因だという。
「TOKYO強靭(きょうじん)化プロジェクト」の対策ごとの事業費は、風水害対策が1576億円(前年度比84億円増)、地震対策が4398億円(51億円増)、噴火対策が470億円(44億円増)、電力・通信確保対策が1601億円(15億円増)、感染症対策が502億円(126億円増)。23年12月のアップグレードを受けていずれも増額した。
強靭化関連以外では交通・物流ネットワークの形成に関する施策などに重点的に配分。都心部・臨海地域地下鉄の事業計画を深度化するため3億円を計上する他、4億3400万円の債務負担を設定して25年度以降の検討につなげる。また、多摩モノレールの箱根ケ崎方面延伸に向けた調査・設計費を当初予算の7億円と債務負担行為の9億8600万円でまかなう。
東京消防庁の改築に伴う基本設計などには3億3500万円を計上するとともに、5億9700万円の債務負担行為を設定して後年度支出を担保する考え。駒込病院への粒子線治療施設整備では1億円を用意して基本設計に着手する。
提供:建通新聞社