国土交通省官庁営繕部が新たな国立公文書館と憲政記念館=図=の整備で、建築工事の随意契約に向けた手続きをスタートさせたもようだ。2023年12月の一般競争入札が不調に終わったため発注方式を変更。複数の企業に受注の意思があるかどうかを確認するなどした上で、見積もり合わせに参加してもらうとみられる。順調なら24年度早々に施工者が決まることになりそうだ。
新たな国立公文書館と憲政記念館は旧・憲政記念館のあった千代田区永田町1ノ1ノ2の国会前庭・北地区に整備する。鉄骨鉄筋コンクリート造地下4階地上3階建て延べ4万2384平方bの建物に▽展示・学習▽調査研究支援▽講堂・会議室▽保存▽修復▽デジタルアーカイブ▽エントランス▽執務・管理▽駐車場―などの機能を収める。日建設計(千代田区)が設計を担当。全体工事費約489億円を見込む大規模プロジェクトで、28年度末の開館を予定している。
不調に終わった建築工事は23年8月に一般競争入札(WTO政府調達協定対象、技術提案評価型S型総合評価方式)を公告。建築の2〜3者JV(経営事項評価点数=代表1200点以上、その他1100点以上)または単体(1200点以上)から申請書などを受け付け、12月22日に開札するスケジュールで手続きを進めた。不調の具体的な理由は明らかにしていない。また、建築工事の不調を受けて、24年1月の開札を予定していた設備工事3件(電気、機械、エレベーター)の入札手続きも取りやめた。
このため1月公表の発注見通しで建築工事の発注方式を随意契約に変更するとともに、設備工事3件の入札手続きを改めて進め、それぞれ24年度の第1四半期に施工者を決める予定とした。各工事の予定工事発注規模は23年10月公表の発注見通しと同様に▽建築=50億円以上▽電気設備=20億円以上▽機械設備=20億円以上▽エレベーター設備=3億円以上6億8000万円未満―となっている。
工期についても建築工事が約51カ月、設備工事3件が約49カ月で23年10月の見通しと変えていないことから、前回の入札手続きでいずれも28年3月17日としていた完了期限を一定程度先送りして対応するようだ。
提供:建通新聞社