東京都は都内初となる本格的なグリーン水素製造設備を臨海部の都有地に整備するため、2024年度に3基の工事や設計に着手する。1基の工事を先行し、24年度内の稼働を目指す。毎時100ノルマル立方bを供給する設備とする。この他2基については設計に取り掛かる。当初予算案でこれらの経費を含む「グリーン水素の製造・利活用事業」に30億円を計上する見通し。
現時点では3基とも同じ建設地を想定しているものの、場所の詳細は明らかにしていない。設計を始める2基の供給能力は今後決める。
なお、「グリーン水素製造・利活用に係る設備設計」と題する業務を崎陽設計(江戸川区)が1月19日までの納期で進めている。履行場所は海の森水上競技場の駐車場敷地内(江東区海の森3ノ6ノ44)。並行して別途、産業労働局が中央防波堤地区で製造設備の整備を検討中だ。
1月10日に開いた24年度予算編成に伴う知事査定では、水素のさらなる普及拡大を図るため、水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」の三つの観点から施策を展開するとした。24年度の水素エネルギー関連予算案の総額は、23年度の約100億円から倍増となる約200億円を計上する考え。
内訳を見ると、「グリーン水素の製造・利活用事業」の他、新規事業として「東京における水素実装課題解決技術開発促進事業」に4000万円を充てる。高効率な貯蔵装置の開発などをテーマに、都と企業が共同で技術開発を行う。
また、「グリーン水素取引所の立ち上げに向けた取組」に3億円を見積もった。製造者の販売価格と利用者の購入価格をそれぞれ入札で決定し、双方の価格差を都が支援するもので、24年度中にトライアル取引を開始する。年間で20万ノルマル立方bの取引を仲介する見込みだ。
提供:建通新聞社