国土交通省関東地方整備局、東京都建設局、東京建設業協会(東建)による意見交換会が11月8日に開かれ、建設業の働き方改革や生産性の向上などへの対応について話し合った。この中で、東建が週休2日の実施に伴う必要経費の引き上げを求めたのに対し、関東地整は現行の週休2日補正に代わる新たな積算方法を検討していることを伝えた。また、東建からプレキャスト工法の活用拡大を要望されたことを受けて、関東地整は樋管のプレキャスト化を進めるため寸法の規格化を検討する方針を表明した。
開会に当たり、あいさつに立った関東地整の藤巻浩之局長は、来年4月に始まる時間外労働の上限規制に触れて「建設業の働き方改革や生産性の向上に全力を尽くす」と強調。政府による補正予算の編成や国土強靱(きょうじん)化の取り組みにも言及しながら、「少しでもいいインフラが一日も早く東京に残るように精進したい」と述べた。
また、都建設局の花井徹夫道路監は「品確法に定められた発注者の責務として、引き続き適切な工期設定や週休2日制確保工事の推進、施工時期の平準化などにより、建設業の働き方改革を後押しする」と約束した。
東建の今井雅則会長は、時間外労働の上限規制が「建設業界における最大の課題」であり、「建設業の社会的役割を果たしながらルールを完璧に達成するためには、完全週休2日の実施と技能労働者の年収が確保できる受注単価の実現以外にはない」と主張。併せて「とりわけ民間工事の受注比率が高い」と東京の建設業界の特性を説きつつ、民間発注者の理解を得るためにも「民間工事をけん引し得る好条件の発注をお願いしたい」と訴えた。
意見交換で東建は、建設業の働き方改革に関連して、週休2日の実施に伴う必要経費の引き上げを要望。適正な賃金の確保を含め、現行の補正係数では「対応が困難」だと指摘して、適切に経費を計上するよう求めた。
これに対し関東地整は、週休2日を確保した直轄土木工事で「実態調査に基づき労務費、機械経費、間接経費を補正している」と現状を説明。時間外労働の上限規制を見据え、今後は「月単位で週休2日を実現できるよう取り組みの推進が必要」なことから「本年度、現行の週休2日補正に代わる新たな積算方法について検討している」と答えた。
東建はまた、生産性の向上を巡ってプレキャスト工法の活用拡大を要望。工期短縮などの面から効果があるものの、「設計段階で採用されないものも多く、変更協議で認めてもらえないこともある」として、「当初設計での採用」を求めた。
関東地整は「特に非出水期施工を原則としている河川工事では有効な手段」とプレキャスト工法に対する認識を示しつつ、「樋管のプレキャスト化を進めていく上で、今後は寸法の規格化を検討していく予定」でいることを明かした。加えて、受注後の状況から「プレキャストの採用が有効な場合などは適切に対応する」と変更協議に前向きな姿勢を見せた。
東建はさらに、カーボンニュートラルに向けた取り組みを工事成績評定での加点などで支援するよう要望。これに対し都建設局は、本年度から全ての土木工事で「低炭素(中温化)アスファルト混合物」の活用を原則化した他、低炭素化やエネルギーの確保につながる取り組みを成績評定で加点する「HTTゼロエミッションアドバンス工事」の試行を始めたことを紹介した。
提供:建通新聞社