羽田空港・旧整備場地区(大田区羽田空港1丁目)のランドサイド部で、冠水対策の嵩上げと航空機の格納庫や工場といった既存施設の再編が始まる。国土交通省が2024年度以降に嵩上げ工事を実施するのに併せて、民間事業者なども順次、施設の移転改築工事を行う。30年代中ごろの完了が予定されている。
旧整備場地区は空港北西の海老取川沿いなどに位置。沖合展開前の旧空港地域で、地盤が低いことから豪雨時には広範囲が冠水して空港の運用に支障を来している。
同地区では空港機能の拡充に向けて駐機場の配置の見直しを進めており、これに併せてランドサイド部の用地約21fを1〜3b程度嵩上げする。国交省東京航空局が日本空港コンサルタンツ(中央区)で基本設計中だ。
一方、ランドサイド部のうちの約6・3fには、国が土地の使用を許可する形で、新聞4社(朝日、産経、毎日、読売)の格納庫や日本航空の工場、空港施設のビル、東京航空計器の事業所といった16の民間施設・総延べ床面積約13万平方bが立地。事業者が嵩上げに伴う地区内での移設を希望していることを踏まえ、国交省は移転先用地の案を示すなどして調整を行っている。
国の嵩上げによって民間施設の移設が必要なため、国交省は10月4日に立ち上げた有識者会議(座長・加藤一誠慶應義塾大学教授)で民間施設の今後の取り扱いを議論して、12月以降に方向性を出してもらう。
ランドサイド部にはまた、海上保安庁の基地や気象庁のレーダーもある。嵩上げに伴い海上保安庁の格納庫や庁舎などを近傍へ移転改築するため、東京航空局が安井建築設計事務所(千代田区)で設計中。24〜26年度に新施設の建設工事を進めた後、27年度に既存施設の解体工事を行う予定でいる。
提供:建通新聞社