国土交通省関東地方整備局は羽田空港の鉄道基盤施設整備で、JR東日本羽田空港アクセス線の駅ホーム部の躯体を築造する工事を清水建設と随意契約した。設計段階から施工者のノウハウを取り入れるECIを初めて採用し、同社を優先交渉権者に選んで工事に先立つ技術協力業務を任せていた。9月29日に税込み301億7254万9000円で契約。既存構造物の撤去工や本体工の一部、地盤改良工、土工、仮設工、調査工などを2028年3月17日までに終えてもらう。本体工の大半などを内容とした後続工事も別途、同社と随意契約して27年度後半〜29年9月に進める予定だ。
JR東日本羽田空港アクセス線は東京貨物ターミナル(品川区)〜羽田空港新駅(大田区)間の延長約5`。このうち羽田空港内の約2・4`を直轄事業とし、新駅側の約0・5`を開削工法、他の約1・9`をシールド工法で建設する。京浜急行引き上げ線(約0・3`)とともに羽田空港の新たな鉄道基盤施設となる。
施工場所の狭さや既設構造物との近接、周辺交通の確保といった技術的課題を踏まえ、開削工法区間のうちP3駐車場前で行う駅ホーム部(約250b)の躯体築造にECIを初採用。22年度に公募型プロポーザル方式で清水建設を優先交渉権者に選んで技術協力業務を委託し、パシフィックコンサルタンツ(千代田区)の詳細設計業務に生かす技術情報の提出や施工計画の作成などを任せた。
今回契約した工事の税込み予定価格は301億7295万6000円で、清水建設の落札率は99・9%。詳細設計を進める中で、当初は後続工事(税込み参考額60億円程度)で予定していた本体工の一部を含めることになったという。
羽田空港の鉄道基盤施設整備では、JR東日本羽田空港アクセス線のシールド工法区間(優先交渉権者=鹿島・東亜建設工業・あおみ建設JV)や残りの開削工法区間(優先交渉権者選定中)、京急引き上げ線の開削工法による駅舎改築など(優先交渉権者=大成建設・五洋建設・京急建設JV)にもECIを採用。価格交渉などが成立すれば、それぞれの優先交渉権者と工事を随意契約する。順調ならJR東日本羽田空港アクセス線のシールド工法区間は23年度内、その他は24年度に着工する見通しだ。
提供:建通新聞社