東京都建設局は工期の設定に関する考え方を見直した。土木工事では、「検査に必要な資料作成期間」を後片付け期間に加算できるようにした。また、猛暑日を工期に割り増す他、地域の実情から作業が制限される日数を必要に応じて加算する。2024年度から建設業にも適用される時間外労働の罰則付き上限規制に備えた運用。事務作業や猛暑日を考慮してより適切な工期を設定することで、建設業の働き方改革をさらに後押しする狙い。10月に適用を始めた。
建設局は工期を算出する際、標準で20日の後片付け期間を計上している。今回の見直しではこの日数に、必要に応じて「検査に要する資料作成期間」を加算できるようにした。
さらに、後片付け期間中に「検査に要する資料作成期間」が必要となり、受注者から工期延伸の請求があれば、作業内容の妥当性を確認した上で契約変更する。延伸に伴って工期が年度をまたぐ可能性がある場合は、工期末の3カ月前までに変更を請求することを条件とした。
「検査に要する資料作成期間」に必要な費用は間接工事費に含まれるため、「工事における工期の延長等に伴う増加費用」で定める契約金額変更の対象外となる。
10月1日現在で契約済みの工事にも適用する。
また、猛暑日を考慮した工期を設定する。過去5カ年に東京地点で午前8時から午後5時までの暑さ指数(WBGT値)が31以上となった時間を平均して日数換算し、雨や雪などによって作業ができない日数と合わせて工期に加算する。
この他、出水期や地域の祭りなど、地域の実情に応じて何らかの理由で施工できない期間があったり、作業量が低下したりする場合は、それに伴う日数を「その他作業不能日」として必要に応じて加算できるようにした。
10月1日以降の起工(決定日)案件が適用対象となっている。
提供:建通新聞社