東京都建設局は砂防施設の維持管理にUAV(無人航空機)をはじめとした新技術の適用を検討している。業務委託を通じて、多摩と島しょにある620施設を対象とした定期点検の実施に併せて、新技術を用いた点検手法を試してもらう。財務局による希望制指名競争入札で9月に委託先を決め、2024年度までの2カ年で履行。成果を予防保全計画の見直しに生かすとともに、新技術の適用可否を判断する。
建設局では「砂防施設予防保全計画」(18年度)に基づいて予防保全型管理に取り組んでいる。計画期間を100年間に設定し、5年周期で定期点検を実施して見直しを図る方針だ。
今回の定期点検を通じて各施設の健全度を調査・評価した上で対策の優先度と内容を立案し、年次計画や事業費を更新する。
対象は136渓流のうち都が管理する▽砂防堰堤▽床固工▽渓流保全工▽遊砂地工▽山腹工▽導流堤▽管理用通路―などを含めた砂防施設で、すでに予防保全対策に着手している箇所を除いた620施設を想定している。
定期点検では、目視またはUAVで外観変状の発生や進行の有無を確認する。UAVでの点検は砂防堰堤45施設程度で実施する見通し。
外観変状調査とは別に、UAVを含めた複数の新技術を用いた健全度調査の手法も比較・検証してもらう。水根沢谷(奥多摩町)と払沢(青梅市)、和亜田沢(新島村)、吉田沢(新島村)の4渓流を対象に、施設の種類や規模ごとに候補となる手法を選び、調査する。目視や航空測量と比較した場合の作業効率や概算費用などを整理して、適用可否を判断したり課題点を抽出したりする。
入札には土木・水系関係調査Aのうち取扱品目「地形・砂防調査」に登録がある競争入札参加有資格者から8月25日まで希望申請を受け付けて9月13日に開札する。履行期間は25年2月13日まで。
提供:建通新聞社