日本芸術文化振興会は国立劇場のPFI再整備で、事業者を選ぶ総合評価一般競争入札(WTO政府調達協定対象)が落札に至らなかったと発表した。応募者の入札価格が予定価格を超過していたことが理由。2022年4月に公告した初回の入札が全応募者の辞退で不調に終わったため、23年2月に再公告して2回目の入札手続きを進めていた。再々公告に向け、要求水準の見直しや費用の削減などを図るとともに、建設市場の動向も把握して今後の予定を固める考え。
国立劇場(千代田区隼町)は既存施設の抜本的な老朽化対策や伝統芸能の伝承・創造機能の強化などを目的にPFI手法で再整備。既存施設の解体や、延べ床面積5万6500平方bの新劇場と民間収益施設を合築した複合施設の設計・建設、新劇場の維持管理・運営などを民間に任せる。
初回の入札が不調に終わったことから、当初は事業に含めていた国立能楽堂(渋谷区千駄ケ谷4丁目)の維持管理を対象外にしたり、事業費削減率を引き下げたりした上で、2回目の入札を公告。6月8日に開札し、提案内容のヒアリングを経て8月下旬に落札者を選ぶ予定でいた。
新劇場関係をBTO方式のPFI事業(税込み施設整備費536億7770万6600円)、事業者による民間収益施設の整備・所有・運営(70年間の定期借地権設定契約、基準貸付料年額9億6500万円)を付帯事業と位置付けていた。
再整備に伴い10月末に現在の国立劇場を閉場するスケジュールは変更しない方針。一方で、29年度内を目指していた新劇場の開場時期については先送りが避けられないと見ている。
提供:建通新聞社