東京都はWTO政府調達協定対象の工事発注で、低入札価格調査制度の失格基準の運用を見直して8月1日以降の公告案件に適用する。応札額が調査基準価格を下回った際、数値的失格基準と同等の基準に該当しても即失格にせず、安全衛生管理や品質確保体制などに関する追加の書類提出を求めて調査・審議を実施する形に改めた。ダンピング防止の効果を維持しつつ、WTO協定との整合性を図る狙い。
都の低入札価格調査制度では、調査基準価格を下回った際に「数値的失格基準」と「工事成績失格基準」の二つの失格基準による確認に加え、履行能力や経営状況が分かる調査資料の提出を求めている。
今回の見直しでは、WTO対象案件の場合は数値的失格基準の線引きを維持しつつ、名称を「適用基準」に変え、この基準を満たさない場合に「特別重点調査」として追加の調査票を提出してもらう。このほど調査マニュアルを改正して、「特別重点調査」の内容を明示した。
具体的には▽機械リース元一覧▽安全衛生管理体制(教育、点検・仮設設置・交通誘導員配置計画)▽品質管理体制(人員体制、品質管理・出来形管理計画)▽建設副産物と資材などの搬入に関する運搬計画―の提出を求め、適切な履行の可否を審議して落札決定を判断する。
これまでの制度運用では、調査基準価格を下回った応札者は失格基準に該当するか調査票を提出しないなどの理由でいずれも失格となっていた。特に数値的失格基準を巡っては、WTO対象工事(都発注22・8億円以上)には最低制限価格を設定しないよう政令で定められていることから、入札監視委員会が「数値的失格基準が最低制限価格と同様の機能を果たしているのではないか」と指摘していた。
提供:建通新聞社