日本科学技術振興財団(JSF)は千代田区の北の丸公園内にある「科学技術館」=写真=の建て替えを検討している。現施設の近傍に、大人やインバウンドを含めた「気づきと学びのサイエンスエンターテイメント施設」を建設したい考え。2023年度内に基本構想などを固めた上で、24年度から29年度半ばを工事関連期間に位置付けて建て替えを進めることを想定している。環境省が7月14日に開いた「北の丸公園の利用の在り方に関する検討会」(座長・西村幸夫国学院大学観光まちづくり学部学部長)で説明した。
科学技術館は産業界と公的機関が協力し、青少年に基礎科学や生活に密着した産業技術などを紹介する博物館として1964年に完成した。地下2階地上6階建て延べ床面積2万2048平方bの規模で、星をイメージしたデザインの外壁と放射状の平面形状を持つ。89年に別館を建設した他、96年には展示施設の大幅な改修を実施。コロナ禍前の2018〜19年度には年間80万人が来館している。
完成から59年がたち老朽化が進んでいる他、耐震性の問題も抱えていることから、建て替えに向けて基本構想の検討を始めた。
JSFは検討会で、新しい科学技術館について、科学・技術・工学・芸術を融合し、多世代が楽しめる科学技術に特化した「気づきと学びのサイエンスエンターテイメント施設」にするとの方向性を提示。対象を小学校の高学年から大人やインバウンドにも広げ、北の丸公園の品格を守りながら新たな魅力を創出するとしている。
検討会の議論などと並行して、23年度内に基本構想とコンセプトを決定。24〜29年度半ばの工事関連期間を経て、29年度の半ば以降に新施設の運営を始めた上で、現施設を30年度の半ばまでに解体するロードマップ案を併せて示した。現施設の解体後の敷地を利用して別棟を建設することも視野に入れている。
建て替えに当たっての課題についても説明。用途地域(第1種住居地域)の制限などをクリアする必要があるとした他、建て替え資金の融資を受けるため、長期にわたる敷地の使用許可や貸し付けを環境省と検討したいと考えている。
提供:建通新聞社