東京都は入札談合を防ぐための取り組みとして、総合評価方式による業務委託の際、指名停止処分を受けたことのある事業者を減点する仕組みの導入などを検討する。6月14日に開いた東京都議会本会議の一般質問で、山下聡財務局長が答弁した。この他、都有地の活用や再エネ設備の導入促進などについて各党の議員が質問した。旧忍岡高校跡地の活用では野間達也総務局長が「さまざまな検討を行っている」と答えた。再エネ設備の導入促進に関しては谷崎馨一都市整備局長が答弁に立ち、「建築物再生可能エネルギー利用促進区域制度」の利用の前提条件に、市区町村が促進計画を策定する必要があることから、「市区町村を支援するための指針を年内に策定する」と明らかにした。
■入札談合防止対策
東京五輪テスト大会の業務委託を巡る入札談合事件を受けて関係する6社を18カ月の入札指名停止としたことに対して、議員側が「十分な処分だったのか」と疑問を呈した。その上で、「早期に『競争入札参加有資格者指名停止等措置要綱』と総合評価方式の評価基準を変更すべき」と意見を述べた。これに対し山下財務局長は「要綱に従って最大限の指名停止措置を取った」と説明しつつ、入札談合を防ぐ取り組みの一環として「今後、総合評価方式による業務委託の入札契約において、指名停止処分を受けたことのある事業者を減点する仕組みの導入などを検討する」と回答した。
■都有地の活用
旧忍岡高校跡地(墨田区)では面積1fの都有地を大規模救出救助活動拠点として利用している。議員からは、グラウンドの用途で暫定利用している「墨田五丁5丁目都市整備用地」の代替地として、平時にも利用できないか可能性を尋ねる質問が挙がった。
これに対し野間達也総務局長は「有事の際の重要な役割を踏まえ、地元の理解を得る必要がある」との見解を示し、「墨田区や関係局とさまざまな観点から検討を行っている」と説明した。
また、2015年に国から取得した戸山公園(新宿区)に隣接する面積3000平方bの土地整備が進んでいない状況について他の議員がただした。中島高志都技監が答弁に立ち、「地元区と連携し、広場としての利用に向けた準備を進める」との方針を明らかにした。
■淀橋市場
淀橋市場(新宿区)の整備に関しては、早川剛生中央卸売市場長が「老朽化した事務所棟を建て替えるとともに、取引先のニーズに対応した加工パッケージエリアを施設内に整備する」との方向性を提示。加えて、自動立体冷凍倉庫や商品の自動搬送化につながる先端技術を市場関係事業者が導入できるよう「補助事業で後押しする」とした。
■多摩地域の道路
多摩地域の道路整備を巡っては中島都技監が答弁。新東京所沢線では、埼玉県清瀬市内から東久留米市内にかけての計約1・9`区間が未整備となっている。このうち約60%の用地取得が完了しており、「着実に推進する」と答えた。
所沢街道のうち東久留米市内の延長3・6`区間の歩道整備では、唯一未着手だった南町4丁目〜八幡町2丁目の延長1・3`区間の現況測量を22年12月に始めた。用地取得に関しては「事業が円滑に進むよう、市に委託する」との意向を示し、「市と速やかな調整を行う」と語った。
■省エネ施策
国が22年に建築物省エネ法を改正し、容積率や高さ制限の緩和を可能にする「建築物再生可能エネルギー利用促進区域制度」の施行を24年6月までに予定している。前提条件として区市町村が促進計画を策定する必要があるため、谷崎都市整備局長は「円滑に策定できるよう年内に指針を定める」とし、区市町村と連携して建築物の再エネの促進に取り組む姿勢を示した。
提供:建通新聞社