国土交通省は関東地方整備局管内の都県の入札契約担当課長らと6月16日に開いた2023年度上期の関東ブロック監理課長等会議で、「賃金の行き渡り」「ダンピング対策の強化」「週休2日工事の適用」などに関するデータを示しながら、都県に一層の取り組を求めた。会議の冒頭、あいさつに立った国交省建設業課の大湯裕稀課長補佐は「建設業の新3K(希望・休暇・給料)の実現に向けて当事者意識を持ってほしい」と呼び掛けた。
国交省は賃金の行き渡りについて、公共工事設計労務単価が12年度からの11年間で65・5%伸びているのに対し、1日当たりの賃金上昇は25・4%の伸びにとどまっていることを説明。また、「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」で議論が進む標準労務費の考え方を示しつつ、自治体では法定福利費の内訳明示が進んでいない点を伝えて対応を促した。
ダンピング対策の強化では、受注者側技術員の増加や施工体制確認型総合評価制度の活用などの有効性を提唱。低入札価格調査の排除割合と低価格受注に対する履行確保措置の状況を説明するとともに、総合評価方式を活用してくじ引きの抑制に取り組むよう要請した。入札・契約情報の確実な公表や、スライド条項などによる適切な価格転嫁も必要だとした。
週休2日工事の適用を巡っては、休日を考慮している市区町村が全体の48・1%と取り組みの遅れを指摘。24年4月から時間外労働の上限規制が建設業に適用されるため、都県が市区町村に原則導入を働き掛けるよう求めた。また、総務省や農林水産省と連携し、自治体の農林部局に施工時期の平準化などを働き掛ける方針を伝えた。
さらに、民間発注者に適正な工期設定を働き掛けている都道府県政令市が全体の約25%にとどまっている状況を説明。「必要性の認識がなかった」との声もあることから、改めて働き掛けを行うよう要請した。
提供:建通新聞社