国土交通省関東地方整備局は中川大橋(葛飾区)の耐震補強・補修にECI方式を採用することを決めた。施工上の制約や条件の厳しさを踏まえ、設計段階から施工者のノウハウを反映させて工事の仕様を固めていく。新たな試みとして、技術協力業務の実費を含めて工事の価格交渉を行う。先行して詳細設計業務の委託先を決めるため、所管の東京国道事務所が6月9日に簡易公募型競争入札(総合評価方式)を公示。土木関係建設コンサルタントの競争参加有資格者(単体またはJV)から6月19日まで参加表明書、7月10日まで技術提案書を受け付けて7月31日に開札する。工事に関しては、8月上旬に公示する公募型プロポーザル手続きを通じて年内に優先交渉権者(施工者)を選び、技術協力業務を任せた後に価格交渉などを実施して、2023年度内の契約締結を目指す。
中川大橋は葛飾区青戸〜新宿の中川渡河部に架かる国道6号の橋梁。橋長134・4b、幅員30・8bの鋼3径間連続鋼床版箱桁橋で、1989年に完成した。
橋梁補修工(鋼床版亀裂補修工、仮設工)、下部工補強工(RC橋脚巻き立て工、作業土工、仮締め切り工)、上部工耐震補強工(水平力分担構造工、段差防止構造工、仮設工)を同一工事で実施することを計画。ただ、交通量が多い国道6号への影響を最小限に抑えて補修したり、渇水期に合わせて橋脚を補強したりする必要がある。
また、河川内に高水敷がなく作業ヤードや工事用道路の確保が困難な他、桁下空間も低く施工条件が厳しいことなどからECI方式の採用を決めた。
技術協力業務の実費を含めた工事の価格交渉は、発注時の条件の相違や関係機関協議の延伸などで業務の期間と経費が増加するとの指摘を踏まえた対応。業務のスタートに当たっては契約ではなく協定を結び、履行する中で業務経費を見積もってもらう。その上で工事費に含めて価格交渉を進め、契約を結ぶ流れとなる。
一方、先行する詳細設計業務では、中川大橋の耐震補強・補修の他に▽立会川橋▽大森橋▽小松川1号高架橋▽新小松川1号高架橋―の補修に伴う設計も行う。履行期間は9月上旬〜24年1月31日を予定している。中川大橋に関する予備設計はパシフィックコンサルタンツ(千代田区)が担当した。
関東地整は19年度に矢沢高架橋の耐震補強(横浜市戸塚区、横浜国道事務所)で初めてECI方式を採用したものの、応募がなく不調に終わっていた。
提供:建通新聞社