東京都の小池百合子知事は6月6日、第2回都議会定例会の開会に当たっての所信を表明し、2023年度内をめどに「TOKYO強靱(きょうじん)化プロジェクト」を「アップグレードする」と明かした。改定を検討中の「豪雨対策基本方針」などの内容を反映させる。また、水素エネルギーや太陽光発電の活用を加速する中で、蓄電池の整備推進に向けた「50億円規模の官民連携ファンド」の創設を表明。脱炭素と強靭化の施策を軸に「持続可能なエネルギー基盤と安心・安全な東京を創る」との決意を示した。
「TOKYO強靱化プロジェクト」は22年12月に策定。23年度からの10年間で6兆円、40年代までに15兆円規模の事業費を投じ、風水害や大規模地震、火山噴火、未知の感染症に対するまちづくりを進めることにしている。
このうち風水害への対応を巡っては、現行の「豪雨対策基本方針」(14年度策定)を23年度内に改定し、施設整備に関する目標降雨と目標年次を新たに定める。特に河川施設は将来の気候変動の影響を考慮して対策を強化するため、23年度内に整備方針を別途策定する予定。これらの内容を反映させて、プロジェクトの「アップグレード」を図る考えだ。
一方、エネルギー施策に関しては、水素や太陽光をはじめとした再生可能エネルギー由来の電力供給に必要な蓄電池の整備を推進するため、「50億円規模の官民連携ファンドを創設する」と表明。今後、ファンドの「運営事業者の選定を進める」とした。
また6月5日には、水素の社会実装を国に緊急要望したことを紹介。その際に「水素の利用拡大のための具体的な道筋を早急に明らかにするよう求めた」と語った。
提供:建通新聞社