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建通新聞社(東京)
2023/05/26

【東京】都 玉川上水整備活用、来年度にも計画改定

 東京都水道局は玉川上水の整備活用計画を2024年度にも改定する。中流部の延長約18`を対象に、崩落の危険がある法面の補修や樹木の管理など、今後10年間程度で展開する施策を盛り込む方針だ。改定の中身を練るため、有識者の検討委員会(亀山章東京農工大学名誉教授)を設置して、5月23日に初会合を開いた。
 玉川上水は、多摩川の羽村取水口(羽村市)から四谷大木戸(新宿区)に至る延長約43`の水路。江戸時代の1654年に給水を開始した。2003年に国の史跡に指定されたことを受け、都は史跡の保存・管理・活用を目的とした「保存管理計画書」(07年)を策定。また、上流の護岸整備が進む一方で、中流部には素掘りの開渠が多く残っていることから「整備活用計画」(09年)を策定し、水路と法面の保全などに取り組んでいる。
 このうち整備活用計画について、これまでの取り組みの継続と新たな課題への対応を目的に改定することにした。対象区間は小平監視所(立川市)〜浅間橋(杉並区)の約18`。計画期間を24〜33年度の約10年間に設定した。
 改定の検討に先立って22年度に護岸・法面の調査を実施したところ、中流部の全域で法面の崩落が起きていることが判明。喫緊の対策が15カ所で必要だという。また、勢力の強い台風によって倒木や幹折れといった被害が増えている他、樹木の巨大化への対応や、桜並木の保存なども課題となっている。
 これらの現状を踏まえ、検討委の初会合では、計画改定の前提条件として▽水量・水質▽水路・法面▽樹木―といった視点を提示。水量・水質については計画期間内では現状維持を前提としつつ、法面の崩壊危険箇所への対策などを進める方針だ。
 次回以降に具体的な施策や目標の設定、優先順位などを議論する。検討状況を踏まえて24年度をめどに改定案をまとめるスケジュールを想定している。
【外濠への導水構想も】
 玉川上水を巡っては、多摩川から水を引いて外濠(千代田区、新宿区)の水質改善を図る将来構想がある。実現には長期間を要するため、当面は30年代を目標に据え、必要な水源・水量の確保と導水路の整備で対応する方針だ、
 具体的には、終端の四谷大木戸と外濠をつなぐ導水路を整備し、多摩川上流水再生センターから既設の暗渠を使って玉川上水の上流部に流している下水再生水を外濠まで導水する。また、荒川の秋ケ瀬取水堰と玉川上水の下流部をつなぐ導水路などを整備して、荒川の水も水質改善に利用する。提供:建通新聞社