東京都都市整備局が4月までにまとめた要安全確認計画記載建築物(特定緊急輸送道路沿道建築物)などの耐震診断結果によると、都の所管する779件のうち大規模地震の際に倒壊または崩壊する「危険性が高い」建築物は119件で、全体のおよそ15%を占めていた。引き続き所有者に耐震設計や耐震改修などの取り組みを促していく。また、都へ耐震診断の結果を報告していない建築物が3件あるため、一定期日までの報告命令を所有者に出した。
都は区部の延べ床面積1万平方bを超える建築物と、多摩地域のうち19市町村の建築物の指導を所管。耐震改修促進法に基づいて、1981年5月31日以前の旧耐震基準で建設された「特定緊急輸送道路沿道建築物」(沿道建築物)や、不特定多数の人などが利用する「要緊急安全確認大規模建築物」(大規模建築物)の所有者に耐震診断を義務付けた上で、建築物の名称や所在地、耐震診断の結果などを定期的に更新している。
耐震診断では、震度6強〜7程度の大規模地震に対して構造耐力上主要な部分の安全性を評価。地震の揺れと衝撃によって倒壊または倒壊するかどうかを▽T=危険性が高い▽U=危険性がある▽V=危険性が低い―の3段階で示すことになっている。
779件の耐震診断結果は「危険性が高い」が119件(15・28%)、「危険性がある」が70件(8・99%)、「危険性が低い」が583件(74・84%)など。
対象区分ごとに見ると、沿道建築物は407件のうち110件(27・03%)が「危険性が高い」との評価を受けた。区部では▽中央区▽港区▽品川区▽目黒区▽大田区▽世田谷区▽杉並区▽板橋区▽足立区―に立地している。また、「危険性がある」と判断されたのは48件(11・79%)、「危険性が低い」のは246件(60・44%)で、改修工事を進めている建築物も1件あった。
一方、大規模建築物は372件で、うち「危険性が高い」が9件(2・42%)、「危険性がある」が22件(5・91%)、「危険性が低い」が337件(90・59%)。改修工事中などの建築物は3件だった。
耐震診断結果を報告するよう所有者に命令した3件のうち、沿道建築物は青梅市内と奥多摩町内の各1件で、それぞれ2024年3月29日が報告期限。また、大規模建築物は豊島区内の1件で、12月28日が報告期限となっている。
提供:建通新聞社