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建通新聞社(東京)
2023/03/10

【東京】都 重点踏切の対策検証 23年度に現地調査

 東京都は踏切対策の推進に向けて、重点踏切を対象に現地調査と対策実績などの検証を2023年度に実施する。基本方針の策定から約19年が経過し、周辺状況などが変化している可能性があるため現状を把握したい考え。自由が丘駅付近の鉄道立体化を巡る地元区の取り組みも支援を継続する。また、立川広域防災基地へのアクセス道路を整備するため、地元市や鉄道事業者による会議体を設けて鉄道交差部の立体化手法などを検討。ルート上の多摩川に計画する「(仮称)富士見四ツ谷橋」の道路構造などの調査も始める。3月8日の都議会予算特別委員会でそれぞれ福田至都市整備局長、中島高志都技監が答えた。
 都は04年度に策定した踏切対策基本方針に基づいて踏切の鉄道の立体化などに取り組んでいる。都内にある全ての踏切のうち、25年度までに重点的に対策を実施・検討すべき「重点踏切」を390カ所抽出。その上で、鉄道立体化の検討対象を20区間、鉄道立体化以外の対策の検討対象を83区間指定している。
 鉄道立体化の検討対象には、東急大井町線・緑ケ丘〜等々力駅付近と東急東横線・都立大学〜田園調布駅付近の2区間が含まれている。目黒区と世田谷区にまたがっており、両区間が交差する自由が丘駅の周辺ではまちづくり機運が高まっているという。
 このため齋藤泰宏氏(都議会公明党)が自由が丘駅付近の鉄道立体化を早期に実現するよう要望。これに対し福田局長は「目黒区と世田谷区が連携して23年度に調査などを実施する」と状況を説明しつつ、引き続き地元区を支援する考えを伝えた。
 関連して、踏切対策全般を推進するため23年度に重点踏切の現地調査を行う方針を表明。「これまでの対策実績や踏切問題の改善状況を把握して方針の検証を行う」とした。

 【立川3・1・34号線 整備へ会議体設立】

 立川広域防災基地へのアクセス道路として整備するのは、中央南北線などと呼ばれる立川3・1・34号線と日野3・4・17号線(立川市〜日野市)。都が「TOKYO強靱(きょうじん)化プロジェクト」(22年12月)のリーディング事業に位置付けている。
 このうち立川3・1・34号線はJR青梅線との立体交差が必要。一方、交差箇所を含む青梅線・立川〜東中神駅付近は踏切対策基本方針で鉄道立体化の検討対象区間になっている。
 渋谷信之氏(都議会自民党)が検討状況をただしたのに対し、中島都技監は「課題解決に向けて、関係者が一堂に会する会議体を23年度に設置する」と答弁。現状の都市計画が「平面構造の道路を基本」としていることから、会議体で立体化の手法を協議するとした。
 また渋谷氏は、中央南北線などを災害発生時に防災道路として機能させるためには、日野3・4・17号線の多摩川渡河部に計画する「『(仮称)富士見四ツ谷橋』の整備が必要」と指摘。中島都技監は「前後区間で沿道敷地との高低差が生じることから、23年度に道路の構造などについて検討する」との方向性を示した。提供:建通新聞社