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建通新聞社(東京)
2023/03/06

【東京】労働局長 死亡災害に減少のトレンド

 厚生労働省東京労働局の辻田博局長は3月3日の会見で、今年に入り建設業の死亡災害が減少している状況について、一昨年来の官民による取り組みを通じて「(減少傾向の)トレンドができてきた」との見方を示した。また、管内の「実情」などを反映させて、3月中に第14次労働災害防止計画(14次防、2023〜27年度)の東京労働局版を策定するとした。
 都内の建設業労働災害による死亡者数は21年が28人、22年が25人(23年1月末現在)で、過去最少だった19年の13人、翌20年の14人から10人以上増えた。東京労働局では21年当初に死亡者数が急増したことなどを受け、22年にかけて夏場と年末に集中的な現場指導を実施するとともに、建設業界に対して労働災害防止対策の徹底を求めた。
 今年の状況は1月末現在で死亡者数がゼロ、休業4日以上を含む死傷者数が36人。前年に比べそれぞれ2人減、27人減となっている。
 辻田局長は会見で、「死亡災害を減少させるため、行政としてここ1年〜1年半に精力的に取り組んできた」と強調するとともに、「団体や大手ゼネコンも熱心に取り組んだ」と建設業界の対応を評価。今年2月末現在の死亡者数が2人と前年同期より5人少ないことなども引き合いに、死亡災害が減少に向かう「トレンドができてきたのではないか」と語った。今後も動向を注視しつつ、引き続き建設業界と協力して労働災害防止対策を推進する方針だ。
 一方、14次防を巡っては厚労本省が2月に大本の計画を策定。建設業関連では27年までに、墜落・転落災害のリスクアセスメントに取り組む事業場の割合を85%以上に高めるなどして、死亡災害を22年比で15%以上減らすとした。これをベースに各労働局が局版の14次防を策定することになっている。
 辻田局長は「本省から示された全体的な方針に沿いながら、管内の実情や業界が分かりやすい目標などをできるだけ盛り込む」と東京労働局版の方向性を提示。都内では多くの労働者が携わる大型の再開発などが実施されていることから、建設業を重点業種に据えた形で策定する見通しだ。提供:建通新聞社