東京都はECI方式(技術協力・施工タイプ)の試行要綱をまとめた。発注者のみでは最適な仕様の設定などが難しい工事で設計段階から施工者のノウハウを反映させる仕組み。対象案件は学識経験者からの意見聴取を踏まえて妥当性を検証した上で決定する。施工上の制約があったり、技術的難易度が高かったりする場合などに適用し、課題の解決につなげたい考え。4月1日に施行する。
ECIは、発注者が最適な仕様を設定できない工事や仕様の前提となる条件の確定が難しい工事で、施工者の独自ノウハウや工法を設計段階から活用するもの。技術提案を基に選んだ優先交渉権者(施工者)と技術協力業務を契約し、同業務を通じて別途進める設計に提案内容を反映。並行して価格などの交渉を進め、成立すれば工事も優先交渉権者と契約する。国では20件以上の適用実績があるという。
今回の試行要綱は、事業者の特定に必要となる基本的な事項を国のガイドラインに準じて定めたもの。対象案件の選定に関する項目を見ると、「発注者が最適な仕様を設定できない工事」や「仕様の前提となる条件の確定が困難な工事」に加え、工事主幹局長がECIの適用が適当だと認めた工事の中から学識経験者の意見を踏まえて適用の可否を判断するとした。
適用を決めた場合は、原則としてプロポーザル方式で優先交渉権者を選ぶ流れを想定。案件ごとに、資格基準や参考額、技術提案書の評価基準などを含めた実施要領を発注部局が作成する。
制度設計に当たり1月に開催した入札監視委員会制度部会へ試行要綱案を示した際には、対象案件の適否を精査する必要性や、優先交渉権者と技術協力業務や工事の特命随意契約を結ぶ際の手続きの透明性に配慮する旨を財務局が説明。案件公表前や技術審査、価格などの交渉といった各段階で複数の学識経験者に意見を聴取するとともに、契約後に技術提案の審査結果や価格の交渉過程などの概要を速やかに公表するとした。
提供:建通新聞社