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建通新聞社(東京)
2023/02/24

【東京】都 大江戸線延伸へ庁内検討組織

東京都は都営大江戸線の延伸に向けた庁内検討組織を2023年度に設置する。収支採算性など事業化に当たっての課題を整理するのが目的。2月21日の都議会定例会で小池百合子知事が答えた。当日はJR中央線の複々線化やJR羽田空港アクセス線の「西山手ルート」の事業化に関する質問も挙がり、小池知事らがそれぞれの課題を明確にしつつ関係者と議論を深めていく方針を示した。
 大江戸線を巡っては、終着駅の光が丘駅から大泉町・大泉学園町へと練馬区内を通り、JR武蔵野線の東所沢駅(埼玉県所沢市)まで延ばす構想がある。練馬区内には「土支田駅」と「大泉町駅」、「大泉学園町駅」の3駅(いずれも仮称)を設けることを想定している。
 滝口学氏(都民ファーストの会)が今後の取り組みをただしたのに対し、小池知事は東京の持続的な成長のために「鉄道ネットワークをさらに充実させることが重要」としながらも、大江戸線の延伸に関しては「収支採算性を十分見定める必要がある」と答弁。鉄道政策全般を所管する武市敬副知事をトップに据えた庁内検討組織を立ち上げることを明らかにした。
 22年度に将来の旅客需要を調査した。23年度は調査費を増額し、収支採算性の検証や事業化に向けて課題を明確にする。小池知事は「練馬区と連携してスピード感を持って検討を深めていく」と強調した。

 =多摩地域の交通基盤を調査へ=

 中央線の複々線化についてもさまざまな会派から質問が相次いだ。立川駅〜三鷹駅間の線路を4本にする構想で、都や国、JR東日本などが参画した事業検討委員会では、採算性の確保をはじめとした複数の課題が明らかになっている。
 その中で、滝口氏による「新たな事業スキームを検討すべき」との指摘を受け、福田至都市整備局長は「国による支援をはじめとした新しい整備の仕組みづくりなどを国とJR東日本に要請していく」と回答。併せて、23年度に多摩地域の交通基盤について基礎的な調査を実施し、中央線を含む鉄道路線の現状や今後の在り方などを整理する考えを伝えた。
 
 =「西山手ルート」は引き続き協議=

 羽田空港と都心部を結ぶ羽田空港アクセス線は、JR東日本が「東山手ルート」と「西山手ルート」、「臨海部ルート」の三つの分岐ルートを計画。先行して事業許可が下りた「東山手ルート」を整備中で、29年度の開業を目指している。
 残るルートのうち「西山手ルート」については、東京貨物ターミナルから東京臨海高速鉄道りんかい線のトンネルを経由して、大井町駅や新宿駅方面の既存路線につながる格好。りんかい線のトンネル内工事が必要なため、実現には東京臨海高速鉄道の大株主である都の協力が不可欠だという。
 東村邦浩氏(都議会公明党)が都の意向を尋ねたのに対し 小池知事は東山手ルートの進捗状況などを勘案しつつ、西山手ルートの事業スキームを具体化するため「国やJR東日本との協議調整を積極的に進める」と前向きな姿勢を見せた。提供:建通新聞社