東京都都市整備局のまとめによると、特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化率は2022年12月末現在で87・7%となり、前回調査の22年6月末現在と比べ0・3ポイント上昇した。特定緊急輸送道路の通行機能を表す指標である総合到達率は92・6%で、前回調査から横ばい。25年度までに総合到達率99%の達成と区間到達率95%未満の解消を目指しており、建物所有者に対するアドバイザー制度を拡充するなどして耐震化を促していく。
特定緊急輸送道路の沿道建築物は1万8276棟。内訳は、新耐震基準の建築物が1万3453棟、旧耐震基準の建築物が4823棟となっている。
旧耐震基準の建築物のうち、98・2%に当たる4736棟で耐震診断が完了。耐震化が必要と診断された2582棟は改修などを実施して、耐震性を確保したという。
一方、耐震診断によって耐震性の不足が判明したものの、耐震化が完了していない建築物は2154棟残っている。耐震診断をしておらず耐震性が不明な建築物も87棟ある。早期に診断を完了できるよう、建物所有者に対して法令に基づく指導や指示、報告命令などを所管行政庁と連携して進めていく方針だ。
また、都は特定緊急輸送道路の指標として、20年3月から新たに「区間到達率」と「総合到達率」の二つを採用している。22年12月末現在の総合到達率は92・6%で、同年6月の前回調査時から横ばいだった。
「区間到達率」は、都県境の入り口から、特定緊急輸送道路のうち交差点などで区分した特定の部分にまで到達できる確率を示す。「総合到達率」は区間到達率の平均値で、耐震化率に比べ交通機能確保の効果を、より実効的に計れるようにした。
《耐震改修促進計画を改定へ》
都は耐震改修促進計画の改定素案を1月末に公表。首都直下地震などの新たな被害想定(22年5月公表)や「TOKYO強靱化プロジェクト」(22年12月策定)などを踏まえて、新耐震基準の木造住宅や特定緊急輸送道路沿道建築物などに対する耐震化施策のバージョンアップを図る。
このうち特定緊急輸送道路の機能確保に向けては、耐震化に意欲的な建物所有者を支援するためのアドバイザー制度を23年度に拡充する方針。検討の初動から耐震改修工事が完了するまで合意形成や事務作業などに一貫して対応できるよう、都が認証した民間事業者を派遣する。
提供:建通新聞社