東京都建設局は公共工事の品質確保に向けた2023年度の取り組み方針案を示した。工事では総合評価方式のうち「技術力評価型」を積極的に活用する。委託に関しては地質調査で総合評価方式とプロポーザル方式の適用目標を、現在の4割以上から5割以上に引き上げる。1月25日の「建設局事業における公共工事の品質確保の促進に関するアドバイザリー会議」で報告した。
建設局では、同局の工事と委託で▽品質確保▽働き方改革への対応▽生産性向上(建設DX)▽担い手の確保・育成―の観点から毎年度目標を定めるなどして取り組んでいる。
個々に見ると、品質確保の取り組みのうち工事はこれまでと同様に、財務局契約案件の中でWTO政府調達協定の対象に総合評価を積極活用するとともに、WTO以外の財務局契約案件には総合評価を原則適用していく。23年度はさらに、都が工事の総合評価で導入している4タイプのうち「技術力評価型」を積極的に活用。各事務所の契約案件で2件程度の適用を目指す。
「技術力評価型」は施工ヤードや近接構造物、交通の面などから条件が厳しい案件で、施工上や工程管理上の提案(所見)を求める。22年度の適用はゼロだった。
これに対し、過去の実績を重視する「施工能力審査型」と「技術実績評価型」は適用件数が多いものの、業界団体から「新規事業者の参入が難しい」といった声も寄せられている。そこで「技術力評価型」を積極的に活用し、担い手の確保・育成にもつなげたい考えだ。
また、委託に関しては、総合評価とプロポーザルを合わせて土木設計の6割以上、測量と地質調査のそれぞれ4割以上に適用する目標を設定。22年度の適用率は1月以降の契約予定を含め、土木設計が約56%にとどまるものの、測量は約53%、地質調査は約51%と目標を達成する見通しだ。
中でも地質調査は目標の達成状況に加え、技術提案による効果も大きいことなどから、23年度は適用率の目標を5割以上に引き上げることにした。
働き方改革を巡っては、委託で早期発注と債務負担行為をさらに活用し、履行期限が4〜12月の割合を50%以上にする。
建設DXの取り組みでは、建設局の発注する土木工事と土木設備工事で工事情報共有システムの原則活用を促す方針。委託や工事を発注する際には、BIM/CIM技術を活用したモデル事業の試行を拡大する考えだ。
担い手の確保・育成に向け、週休2日制確保工事や女性活躍モデル工事、魅力発信モデル工事などの取り組みを継続する。
提供:建通新聞社