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建通新聞社(東京)
2023/01/26

【東京】都 公共調達で持続可能性に配慮

 東京都は社会的責任に配慮した調達指針の検討を始める。工事や建築資材、設備などの調達に当たり、環境問題や人権・労働問題の防止などに着目した基準や運用方法などを示す考え。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(オリ・パラ組織委)が大会の準備・運営に際して策定した「持続可能性に配慮した調達コード」を基に、都の公共調達に適した指針へとアップデートする。これに向けた調査業務を2月に委託。3月末に成果を得た後、有識者会議での議論などを経て10月にも指針の案を公表する計画だ。適用開始の時期などは今後の検討の中で詰めていく。
 オリ・パラ組織委は、大会の準備・運営を巡る調達プロセスで、経済合理性だけでなく持続可能性にも配慮した調達を行って社会的責任を果たすことを目的に「持続可能性に配慮した調達コード基本原則」(2016年1月)を策定。これに基づいて、オリ・パラ組織委が調達する全ての物品・サービス(工事、建築資材・副資材、設備・備品・消耗品、各種サービス)やライセンス製品を対象とした「持続可能性に配慮した調達コード第1版」(17年3月)も策定し、事業者に順守を求めた。
 例えば、競技施設の整備に使う木材に関しては、伐採地の環境を破壊したり、地域住民と対立したりせず、合法的な手段で伐採された木材を調達するよう規定していた。
 この調達コードを東京五輪のレガシー≠ニして引き継ぐため、都の公共調達に適した「(仮称)社会的責任に配慮した調達(SR調達)指針」を新たに策定する。
 指針の策定に関わる調査業務の委託先を決めるため、財務局が希望制指名競争入札の手続きを開始。市場・補償鑑定関係調査A〜Cの有資格者から1月26日まで希望申請を受け付けて、2月8日に開札する。国際的な合意や行動規範、ガイドライン、法的整備、政策の変化などを調べて比較・分析するとともに、都政の方針や取り組み内容などを踏まえて指針に盛り込むべき内容を提案してもらう。
 3月31日までに成果を得て、有識者会議の初会合を開催する予定。9月ごろに指針の素案をまとめてパブリックコメントを実施した後、10月にも案を公表して適用につなげる。提供:建通新聞社