日本芸術文化振興会は国立劇場のPFI再整備で、事業者選定のためのWTO総合評価一般競争入札を2023年2月ごろに再公告する。当初入札の不調に伴う対応で、23年3〜6月ごろに1次と2次の審査資料を受け付けるなどして8月ごろに落札者を決定。新施設の設計・建設などを経て、29年12月の供用開始を目指す。事業期間を1年縮めて約25年とし、当初通り49年3月末に終了させる。
国立劇場(千代田区隼町)は既存施設の抜本的な老朽化対策や伝統芸能の伝承・創造機能の強化など目的にPFI手法で再整備。既存施設の解体や、延べ床面積5万6500平方bの新劇場と民間収益施設を合築した複合施
設の設計・建設、新劇場の維持管理・運営などを民間に任せる。
新劇場関係がBTO方式のPFI(税込み施設整備費約556億3960万円)で、事業者による民間収益施設の整備・所有・運営(70年の定期借地権設定契約)を付帯事業と位置付けている。香山・山下PMC設計共同体が技術アドバイザリー業務を手掛けた。
4月に公告した当初の入札が全応募者の辞退で不調に終わったため、再公告などに向けて検討を進めていた。並行して所管の文化庁が22年度の第2次補正予算で再整備の事業費500億円を確保。新劇場の設計や工事、既存施設の解体などにかかる経費の一部として振興会に出資することになっている。
再公告などに備え事業内容についても一部見直して、民間収益施設に関わる基準貸付料(年額)を当初の12億9000万円から約3億円減の9億6500万円とした。また、別地にある国立能楽堂(渋谷区千駄ケ谷4丁目)の維持管理を対象外とし、運営についてもチケット販売の支援などに限定する。先行して23年1月ごろに特定事業の選定に関する一部変更を行う。提供:建通新聞社