東京都財務局が2021年度に契約した工事のうち、1者入札の割合は21・7%だった。11月16日の入札監視委員会(委員長・有川博日本大学総合科学研究所客員教授)で、委員の質問に都が答えた。18年の入札契約制度改革前が25%前後だったため、都側は「減少傾向にある」と説明。これに対し、委員側は「工事だけでなく、物品・役務も含めた契約全体で1者入札の改善に向けた意識を持ってほしい」と意見して、競争性をより確保できる仕組みの必要性を唱えた。
当日は第1監視部会(7月)と第2監視部会(9月)で審議した12件の内容を報告し、都に引き続き適正な契約手続きを進めるよう求めた。二つの部会では、21年4月1日〜6月30日または同年7月1日〜9月30日に契約した工事の中から▽高額・高落札▽1者入札▽低入札価格調査▽同一事業者による長期継続受注▽社会的注目―の基準で審議対象を選んでいた。
12件のうち9件が1者入札だったことから、委員側は全体に占める1者入札の割合をただした。都側は21年度と18年6月に入札契約制度改革を本格実施する前の実績を示して、「1者入札は減少傾向にある」と回答。各局契約の工事についても同様の傾向が見られるとした。
ただ、委員側は10者のうち9者が辞退し、結果的に1者入札になった案件を例に挙げて「安易な手上げ・辞退が競争性を阻害しているのではないか」と指摘。その上で、「希望制指名競争入札では、札入れの段階で辞退する事業者がいれば、入札参加を希望しても指名に至らなかった事業者の参入機会を奪ってしまうことになる」との見方から、「辞退の理由によってはペナルティーを課すことも検討すべきではないか」と促した。
これに対し都は、「1者入札に至った原因を精査した上で、必要な対策を講じていく」と今後の取り組みの方向性を伝えた。
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都は18年6月に入札契約制度改革を本格実施した。本格実施前の試行段階では、1者入札の中止や予定価格の全件事後公表などを導入したものの、不調や低入札価格調査での失格が相次いだ。そこで本格実施に当たり、入札監視委員会の提案や業界の意見を踏まえて1者入札を認め、予定価格は事後公表と事前公表を使い分ける現行の制度に見直した。
提供:建通新聞社