東京都都市整備局は木造住宅密集地域にある私道の無電柱化を支援する。区部の重点整備地域(不燃化特区)から箇所を選び、私道の土地所有者が負担している無電柱化の経費を都が全額補助する方針だ。補助の皮切りとなる箇所の選定や制度の構築に必要な調査を2023年度までの2カ年で実施して、早期に支援を始めたい考え。
都は木密地域の防災性を高めるため、延焼遮断帯の役割を担う都市計画道路の整備や防災生活道路の拡幅などに併せて無電柱化に取り組んでいる。ただ、地域としての無電柱化率を見るとほぼ進展していないのが実情。また、公道を無電柱化しても、そこに接続する私道の無電柱化は原則として土地所有者が費用を負担するため、私道には電柱が残ったままになる場合もある。
そこで私道の無電柱化に都が補助するスキームを構築し、災害に強いエリアを面的に広げて防災力の強化を図る。
木密地域の中でも、区部の重点整備地域は災害時に特に甚大な被害が想定されることから、都が地元区の提案に基づき不燃化特区に指定。現在は19区の52地区・約3350fを指定しており、老朽木造建築物の建て替え・除却への助成や固定資産税の減免措置といった地元区による事業を都が支援する形を採っている。
このため私道の無電柱化についても同様のスキームを採用することを視野に入れている。
23年度まで実施する調査を通じ、補助の皮きりとなる2カ所を選定するとともに、私道の幅員や地下埋設物、公道と接している私道の数といった状況を把握した上で、制度の詳細を詰める。
調査に必要な費用として22年度当初予算に5000万円を計上。また、今月成立した補正予算で限度額6000万円の23年度債務負担行為を追加設定し、2カ年にわたる作業の前提を整えている。
提供:建通新聞社